14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/02(土) 18:19:35.27 ID:SluoaBc3o
彼はしばらく黙ったままだった。
これは別に彼女の話を聞こうとしていたわけではなくて、
単純に彼の喉から声が出てこなかっただけだ。
経験がある人には分かるだろうけれど、長らく何も話していないと
言葉を口にするのはどんどん億劫になってくる。
散々文庫本の作者について語ってからようやく彼女は口を休め、
彼の顔を覗き込んで、もしかしてお邪魔でしたか、と尋ねた。
「何の」
酷くしわがれた声が出て、彼は咳込んだ。
その動きに、彼の身体は大きく軋んだ。
「何の用だ」
改めて発したその問いに、彼女は
「噂を聞いて、一度お話ししてみたくなって」と答えた。
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