過去ログ - 雪乃「LINE?」結衣「そう!みんなでやろうよ!」
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◆itPh.0zEvU
[saga]
2015/12/21(月) 21:52:39.03 ID:CkPMhNuo0
ふと気づくと陽乃さんが俺のことを見ていた。疑問に思い首をかしげると、まあ今までの経験通りろくでもないことを言い始める。
陽乃「お姉さんとドライブデートでもする?」
一瞬、仮面ライダーの映画を一緒に見に行こうという意味かと思ったが、この人がバイクに乗らない仮面ライダーのことを知っているとも思えないしおおかた車で送ってくれる的な意味合いだろう。
いつもなら即断る。この人と二人で車……まあ運転手さんがいるとしても並んで座って車に乗るだなんてごめんだ。それに『あの車』だろうし。
八幡「……いいですよ、しましょう。家まで送ってくれるんなら」
雪乃「なっ……」
二人とも俺の返事に驚いたようだったが、普通に考えれば当たり前だろう。
確かに陽乃さんとドライブデートはしたくないが、それ以上に雪ノ下の家でバスローブ姿でいたくない。
つか、さっきからバスローブ姿で正座している俺が惨めすぎるんだけど。惨めオブザイヤーとかあれば受賞できそうだ。
陽乃「ほほう、比企谷君もようやくお姉さんに心を開いてきたのかな?」
八幡「そんなわけないじゃないですか。ただ単にバスローブを脱ぎたいだけです」
陽乃「比企谷君も大胆なこと言うねー。美少女二人を前にして全裸になりたいだなんて」
八幡「言ってないです。そんなことしてまた悲鳴なんてあげられたら……」
陽乃「比企谷君?比企谷君は悲鳴なんて聞いてないよね?今までもこれからも悲鳴なんて聞いたことないよね?」
八幡「あっ、はい」
威嚇しているようにしか見えない笑顔から思わず目をそらしてしまう。怖い怖い怖い。
それにもまして、怖いのが雪ノ下だ。俺でも陽乃さんでもなく、何もないところを睨みつけている。何か見えてんの?
雪乃「あなたがいいのなら、それで構わないけれど……」
八幡「けれど?」
雪乃「なんでもないわ。制服、乾いてないけれどいいのかしら?」
八幡「さすがにこんなにすぐには乾かないか……」
ちらっと陽乃さんを見る。俺の視線に気づき一度不思議そうな顔をしたものの、すぐにその意図を理解して笑顔で口を開いた。
陽乃「別に多少濡れてても大丈夫だよ。濡れてるとはいっても水浸しってレベルじゃないんでしょ?」
八幡「ええ、まあ……」
陽乃「なら問題ないね。ほらほら比企谷君、パパッと着替えてきちゃいなさい」
家主でもない陽乃さんに急かされながら脱衣所に置いたままの制服に着替える。よくよく考えたら雪ノ下にパンツ見られたんだよな……。なんだか恥ずかしい。
八幡「き、着替え終わりました……」
濡れた服が肌に張り付いて予想以上に気持ち悪い上に、ガリガリと体温を奪っていく。くそっ、バスローブにちょっと戻りたいと思ってしまってる自分が情けない。
陽乃「よーし、じゃあ行こっか」
陽乃さんがさらっと腕を組んでくる。柔らかい物体が俺の冷えた左腕に押し付けられ悪い意味で体温が上がっていく。あ、ちょっと前屈みにならないと。
雪乃「……姉さん?」
陽乃「そんなに睨まないでよ雪乃ちゃん。比企谷君が寒そうだから暖めてるだけだよ。あ、そういえば右腕が空いてるねー」
雪乃「なぜそこでチラチラと私を見るのかしら」
陽乃「特に深い意味はないよー。……でもこのままじゃ比企谷君風邪ひいちゃうかも?」
雪乃「なら私の家で……」
雪ノ下が何かを言おうとする前に陽乃さんが俺に顔を近づけた。俺の耳元に唇を寄せ、蠱惑的な声で呟く。
陽乃「じゃあ、お姉さんが暖めてあ・げ・る♪」
その声で俺の中の何かが壊れそうになる。性欲か、あるいは恐怖なのかは分からないが、心の中で渦巻く感情が何かを壊そうとしてくる。
雪乃「姉さんっ!!」
雪ノ下がヒステリック気味に叫ぶ。あまりにらしくない行動に、俺は驚きのあまり口を開けたまま動くことができない。
陽乃「……どうかしたの?」
低く重く、心を押さえつけるような声は雪ノ下の次の言葉を詰まらせるのには充分だった。
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