13: ◆8HmEy52dzA[saga]
2014/08/07(木) 22:58:24.07 ID:iJvGxYcs0
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かしゃん、と音がした。
とある日、ファッション雑誌を見て新しい服が欲しくなった私はショッピングモールまで足を伸ばしていた。
……のはいいけれど、可愛い服はやっぱり高いのよね。
毎回、値段を見て諦めてしまむらに玉石混交の玉を探しに行くのがいつものパターンだ。
今回もその通例に漏れず、一通りしまむらで服を買い込んでウィンドウショッピングをしていると、見慣れた後姿を見つけた。
阿良々木君だ。
声を掛けようと近付くと、女の子と楽しそうに歓談していた。
長い髪と、気の強そうな凛々しい彼女の名前は戦場ヶ原ひたぎちゃん。
ちょっと前に紹介してもらったのは記憶に新しい。
直江津高校の制服を着ているということは、学校帰りだろうか。
「あ、川島さん」
声を掛けるべきかしら、もし逢瀬の途中だったら邪魔かしら、なんて逡巡していると、あちらが気付いて駆け寄って来る。
「買い物?」
「ええ、阿良々木君は何してるの?」
「……なんだろう?」
「なんで疑問形なのよ」
とは言え、彼が誰かと一緒にいる時は大抵相手は女の子だ。
私が確認出来ただけでもメガネで三つ編みで巨乳の羽川翼ちゃんと、とてもスタイルのいい元気な神原駿河ちゃんは紹介してもらった。
全員女の子、っていうのがある意味問題だけれど……。
それでも未だに彼女が出来ないあたり、阿良々木君らしいわよね。
「こんにちは、川島さん」
「こんにちは。こんなところで何をしているの?」
「デートです」
「へえ、デートなんだ……ってええっ!?」
「あー……えっと、僕たち、付き合うことになったんだ。その、昨日」
「き、昨日?」
それは驚きだ。
ちょっと前までは友達を作ると人間強度が下がる、なんて恥ずかしい事を言っていた彼が、恋人を作る日が来るなんて。
ああ、息子や弟に彼女が出来るってこんな感じなのかしら。
安心したというか、微笑ましいというか、それでいてどこか寂しいような。
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