過去ログ - 阿良々木暦「みずきアワー」
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19: ◆8HmEy52dzA[saga]
2014/08/07(木) 23:08:18.33 ID:iJvGxYcs0


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▶︎


『驚かなくても大丈夫だよ、そいつには何も出来ない。正体を見破られて慌てて出てきただけさ』

私は忍野さんの話を聞いた後、阿良々木君と屋上に来ていた。
二人で並んでドアの側の壁にもたれかかり、いつの間にか夜になっていた空を見上げる。

『退治する方法も簡単だ。取り憑かれたカセットテープを最初まで巻き戻して、上書きすればいい。そうすれば水火鴇は消滅し、元いた時間軸に戻れるよ。僕はそういう機械は苦手だから、それくらいは自分でやっておくれよ』

やり方もわからないしね、と忍野さんは軽口を叩いた。

それは、暗に自分で決めろという事なのだろう。

『川島瑞樹、君には選択肢がふたつある。ひとつは上書きし元の時間軸に戻る。もう一つは、何もせずこの時間軸を生きることだ』

本来の私に戻るのか、このままの状態でいるのか。

それは。

『考えるまでもないだろ』

阿良々木君は、そう言って私を屋上へと連れ出した。

その後も何を言うでもなく、ただ隣で黙って空を見上げている。

「止めては、くれないんだね」

「…………」

「君らしいわ」

自分でも意地の悪いことを言っているのはわかっている。

でも、忍野さんの言う通り、これが正しい在り方ではなくて、

「……僕には、止める権利なんて無いよ」

「阿良々木君のせいじゃないでしょ」

誰かによって作られた、仮初めの関係だったのだとしても、

「無意識だとしても、僕のせいじゃないか。川島さんがここにいるのも」

「じゃあ、私は最初からいなかった方が良かったってこと?」

「そんな訳ないだろ!」

一緒の時を過ごして来た事実は、本物に違いないのだから。



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