136: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2014/12/23(火) 01:20:56.48 ID:wRoccS0KO
それは、気恥ずかしさによるものだったのだが、少女にはそう映らなかったらしい。
はっ、と云う顔をして、慌てて謝ってきた。
「あ、ご、ごめんなさい! いきなり、し、失礼なことを……」
137: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2014/12/23(火) 01:21:27.27 ID:wRoccS0KO
はぁ、と小さい溜息を吐きそうになって、すんでのところで押し止める。
そんなことをしたら、『やっぱり怒ってる』と思われて、今度は土下座までされてしまいそうだ。
「あ、あのー……何か……?」
138: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2014/12/23(火) 01:21:58.75 ID:wRoccS0KO
三階まで無言のまま昇ると、“CGプロダクション”と掲げられたドアが目に入る。
長年の汚れだろうか、そのアルミ扉はみすぼらしく、
嵌め込まれた磨りガラスは端が少し割れ、クラフトテープで補修されていた。
139: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2014/12/23(火) 01:22:26.36 ID:wRoccS0KO
「……ねえ、私、これ、かなり胡散臭そうに思えるんだけど、大丈夫かな……?」
少女は、困ったように苦笑いをした。
「だ、大丈夫と……思いますけど…………たぶん」
140: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2014/12/23(火) 01:23:14.05 ID:wRoccS0KO
なまじ、真っ黒いオジサンや、正体のよく判らないPを完全には信用していない凛にとって、
この見るからにまともではなさそうな空気は、尻込みをさせるに充分だった。
さて、どうしたものか。
141: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2014/12/23(火) 01:25:08.13 ID:wRoccS0KO
――
「おぉ、良く来てくれたね」
142: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2014/12/23(火) 01:25:52.29 ID:wRoccS0KO
「でも、そのPさん、いないみたいだけど?」
「ああ、今日は彼は外回りをしているよ。原宿辺りに行ってるんじゃないかな」
社長が破顔して、「ささ、こっちへ坐って」とジェスチュアで促す。
143: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2014/12/23(火) 01:27:28.09 ID:wRoccS0KO
だが否定しない辺り、ほぼ同じ気分なのであろう。
「もしかしたら、怖い人たちの事務所なのかも、と……」
「うん。そう思われても仕方ないよね」
144: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2014/12/23(火) 01:28:07.66 ID:wRoccS0KO
茶を淹れて持って来た女性が、刺々しく諌める。
「だから最初は少し苦しくても、もっと綺麗な処にした方がいいって云ったじゃないですか!」
「いやーちひろ君、そうは云うが、やはり立ち上げたばかりは色々と入り用でねぇ〜!」
145: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2014/12/23(火) 01:29:02.78 ID:wRoccS0KO
「あ、ありがとう……ございます」
凛が軽く、上目遣いで礼を述べると、隣の少女はちひろを見て「貴女は、先輩アイドルの方ですか?」と問うた。
「あらあら、そう云って貰えるなんてね。でも私はただのアシスタントですよ」
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