過去ログ - 勇者「それでも俺は魔王を倒す」ヒロイン「言うと思った」
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42: ◆x.6zTnwIjo[saga]
2014/08/11(月) 12:08:21.45 ID:ZbuWHB4fO
ヒロイン「…その青年が、勇者…あなたよ」

勇者「…じゃあ、1人残された少女っていうのは…」

ヒロイン「…そう、私」

勇者「……」

ヒロイン「勇者ったら酷いんだよ。私の事なんて、ちっとも覚えてないんだもん。生き返ったあなたが持っている記憶はいつもただ1つ…魔王への憎しみだけ…」

勇者「…いつも?」

ヒロイン「そう…いつも。生き返った勇者は、生前に比べて力が半減していたの。だからね…魔王の元に再び辿り着く前に、魔王の側近に殺されちゃったんだ」

勇者「え…だ、だけど俺は今ここに…」

ヒロイン「…あなたは世界中の人々の怨念が生んだ、いわば復讐の意志の塊。何回殺されたって、その度に蘇ったわ。何度も何度も…数えるのも馬鹿らしくなるくらい」

勇者「…俺は化け物かよ…」

ヒロイン「目の前で何度も勇者が死んで…その度に蘇って…私の顔すら忘れてるんだもん」

勇者「…ごめん」

ヒロイン「……」

勇者「…俺が見ていた世界は幻だったって事なのか?俺が目を覚ました時、家も村も綺麗だった。それで妹がお守りをくれて…家から出たらヒロイン、君がいて…」

ヒロイン「その通り。勇者は皆の希望として魂が呼び戻された存在だから…あなたの目に映っていたのは、あなたの記憶の奥底に眠るまだ生きていた頃の人達」

ヒロイン「もっとも、あなたの記憶自体は失われているし、皆本当は死んでいる訳だから…色んなものが混ざって、過去にはなかった歪んだ部分もあったみたいだけど」

勇者「人々の念が俺に幻を見せていた…いや、俺が幻を生み出していた、の方が正しいのか…」

ヒロイン「廃墟の街で、何もない空間に向かって話しかける勇者…。あなたは草花を見てその美しさを語り、湖を見て泳いで行こうかと冗談を言って笑ったわ。」

ヒロイン「…だけど、私の目に映っているのはただ無残に荒れ果てた世界だけ…正直気が狂いそうだった。いや…もう狂ってるのかもね」

勇者「…そんな事がずっと…?」

ヒロイン「勇者のそばに長くい過ぎたせいか、今ではあなたの見ている幻が私にも少し見えるようになったけど。だから多少は会話を合わせたりする事もできた…」

ヒロイン「…でも、私は知っているんだもの。本当はそんなものは存在しないんだって。この世界はもう、終わってしまっているんだって」

勇者「……」



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