過去ログ - トール「前と、後ろ。どっちがいい?」フィアンマ「どっち、も」
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◆RxERbt62ozsf
[saga]
2014/08/17(日) 23:24:48.49 ID:oyMdLABn0
「………参ったな」
先程まで楽しいケンカにその身を浸らせていた少年―――全能神トールは、静かに天を仰いだ。
というよりも、瓦礫の天井というべきか。
久々に全力を出して戦った結果、いくつもの廃ビルを壊してしまい。
敵を殺すまでは良かったのだが、がれきに塗れてしまった。
幸い息が出来る程度の隙間はあるし、運良く圧死はしていない。
だが、右脚はポッキリと折れてしまっているし、身体に力が入らない。
「くっそ…」
その気になれば魔力は練れる。
だが、この瓦礫の量ともなると退かすまでに多くの魔力が必要だろう。
悩んでいる間に日が暮れてきた。これは非常に不味い。
(仮眠でもして、体力を…)
目を閉じる。
深呼吸を数度繰り返し、自分の精神を落ち着けた。
周囲に人が居れば『絶対に勝てる位置』まで移動出来るのだが、それも叶わない。
「こんなとこでこんな死に方はゴメンだ」
独りごちて、どうにか仮眠を摂ろうと試みる。
だが、極度の緊張状態で眠れる人間などほとんどいない訳で。
お陰に徐々に気温が下がってきたとなると、眠ることも許されない。
思わず大きく長いため息をつきそうになったところで、瓦礫が動いた。
というよりも。
大きな音を立て、トールに覆いかぶさっていた瓦礫全てが遠くへ取り払われた。
「……?」
「……人が居たのか」
のろのろと両手をついて身体を起こすと、少年(?)が立っていることに気がついた。
黒の修道衣で首元まで覆われた格好に、赤い髪。
琥珀色の瞳に白い肌。顔立ちだけ見れば女性に見えなくもない。
その肩からは巨大な腕のような靄がかった『何か』がある。
「……あんた、魔術師か?」
「ということはお前も、」
はっ、とした様子で少年(?)が右手を振る。
赤い靄の腕がしなり、がっちりと瓦礫を掴んだ。
そこまで見ればもう、トールには彼が何をしようとしているかわかる。
「無かったことにしようとしてんじゃねえ!!」
意味のわからなさにちょっぴり怒りが湧いてきた。
怒りという原動力はすごいもので、降りくる瓦礫を粉々に砕く力を手に入れることが出来たのだった。
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