過去ログ - ちなつ「blueはどこへ消えた?」
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1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/19(火) 00:20:30.74 ID:6oJFiQZgo
夏休みの、ある日の午後。
あかり「じゃ、じゃあ課外頑張ってきてねー」
ちなつ「うん」
私はあかりちゃんの笑顔に手を振って応え、ごらく部の部室を後にした。
今日は英語の補習授業。
ちょっと赤点取っちゃったからって、なにも貴重な夏休みを削って特別授業なんてしなくてもいいと思う。
宿題の量をちょっと増やすとか、そういう感じで。
それならごらく部のみんなに教えてもらえるから。
ごらく部は今日は休みのはずだったけど、私が補習授業を受けることを聞いて、今日を活動日にしてくれた。
私が帰って来るまで、部室で待っていてくれるのだ。
みんなの優しさに感謝。
私は補習教室に入って教科書とノートを広げた。
真面目に授業を受ける気は、当然なかった。
夏休みの宿題のことを考えていた。
今年は量が特に多いので、考えただけでイライラする。私はなにも手を付けてないし、ごらく部のみんなもペンを走らせている様子はなかった。
みんなで解こう。
特に、結衣先輩に教えてもらいたいな。
先輩の隣で、先輩の香りを楽しんで、いや、そんな、後ろから覆いかぶさるようなポジショニングなんて……頭がフットーしちゃいそう――。
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2014/08/19(火) 00:23:10.48 ID:6oJFiQZgo
先生「はいここ、吉川さん」
当てられたことに気付くまで少し時間がかかって、突然気付いた時の感覚は、目覚まし時計をふと見たら起きる予定の時間をものすごくオーバーしていた時の感覚と似ている。
ちなつ「きゃっ、あ、はい」
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2014/08/19(火) 00:24:14.15 ID:6oJFiQZgo
先生に注意されるし、そう言えば今朝は寝坊しかけたし、災難続きの日だなあ。
ちくしょーと口の中でぼやきながら、私は英和辞典を開く。
『blue』……えーとなになに、青。これはいいわね――。
あった。憂鬱な、って意味。
ふーんと思って、さっさと私は英和辞典を閉じる。
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2014/08/19(火) 00:25:34.78 ID:6oJFiQZgo
ちなつ「ちょ、京子先輩!」
京子「ごく、ごく……いやあ、美味いねえ、結衣の唾液の混じった麦茶は」
結衣「そんな風に言うな」
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2014/08/19(火) 00:27:50.19 ID:6oJFiQZgo
おしゃべりをしている間にどんどんその太陽の高度は落ちてきて、心なしか寂しさを覚える。
なぜだかわからなかった。
涼しくなるのに。
そして十数分もすると、夕方の日の光が部室に差し込んできた。
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2014/08/19(火) 00:29:53.85 ID:6oJFiQZgo
あかりちゃんの家では既にあかねさんが凝った料理を作ってくれていた。
ちなつ「あの、ありがとうございます」
あかね「いえいえ、それよりも、いつもあかりと仲良くしてくれてありがとうね」
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2014/08/19(火) 00:32:22.39 ID:6oJFiQZgo
あかり「で、どこまで進んだの?」
あかりちゃんは目をくりくりさせて問いかけてくる。私はあかりちゃんから目を逸らしたくなった。
ちなつ「……ごめんあかりちゃん! まだ結衣先輩に、好きだってことも伝えられないの……」
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2014/08/19(火) 00:36:34.79 ID:6oJFiQZgo
自分の問題だ。
あかりちゃんに心配してもらうようなことじゃない。
それを分かっていながら、私は一か月前、あかりちゃんに結衣先輩への想いを打ち明けた。
相談したところで何の解決にもならないし、いらない心配や迷惑をあかりちゃんにかけてしまうのに。
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2014/08/19(火) 00:38:44.31 ID:6oJFiQZgo
あかりちゃんの目がきらりと輝く。
あかり「うん、頑張ってねっ! でも焦っちゃダメだよぉ、無理だと思ったら、やめた方がいいよぉ。別に一回きりしか機会がない訳じゃないんだから」
私は頷きを返すことぐらいしか出来なくて――気付けばテーブルに涙を落していた。
10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/19(火) 00:40:38.46 ID:6oJFiQZgo
家にはあらかじめあかりちゃんの家で晩ご飯を食べてくると連絡を入れてあった。
私が家に入りリビングに行くと、お姉ちゃんはもうお風呂に入っていた。
ともこ「お帰り、ちなつ。遅かったわね」
11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/19(火) 00:42:09.47 ID:6oJFiQZgo
ともこ「……それは」
ちなつ「友達としての好き、って意味だよ、もしかして、恋愛対象だとでも思ってるの?」
ともこ「……」
12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/19(火) 00:45:32.16 ID:6oJFiQZgo
ちなつ「お姉ちゃんも、あかねさんのこと……」
お姉ちゃんは観念したような口調で、
ともこ「そうね。私もあかねちゃんのことが好き。恋愛対象として。あかねちゃんのことを考えてたら、時折胸が締め付けられるように痛むの」
13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/19(火) 00:49:05.90 ID:6oJFiQZgo
ともこ「実はね、私明日告白しようと思ってるの」
ちなつ「――そうなんだ」
これは、これは面白くなってきた。
14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/19(火) 00:50:49.17 ID:6oJFiQZgo
目を覚ますと十一時を回っていた。
昨夜はなかなか寝付けずにいて、なんとか眠りに入ったのは五時くらいだと思う。
それも仕方がない。
だって今日は、結衣先輩に想いを伝える日なんだから。
15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/19(火) 00:54:35.53 ID:6oJFiQZgo
結衣先輩の家にたどり着いた。
私は緊張しながら、心臓をバクバク言わせながらインターホンを押した。
結衣『入っていいよ』
16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[sage]
2014/08/19(火) 00:55:30.51 ID:PKZioK410
さて……この勝負、どう転ぶ!?
17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/08/19(火) 00:55:56.73 ID:0UfZOxx/O
Blue Genderかと
18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/19(火) 00:56:51.91 ID:6oJFiQZgo
私の脳みそは沸騰しそうだった。
確かにそうかもしれないけれど、今日の状況でそんなことは――できやしない。
私は返す言葉もなく、ただ顔を赤くしてうつむいた。
結衣「……まあ、入ってよ。今日は一人だよね」
19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/19(火) 00:58:52.21 ID:6oJFiQZgo
ちなつ「ダメじゃないですか! しっかり規則正しい生活をしないと体調崩しますよ!」
結衣先輩は頭を掻いた。
結衣「うん、そうだよね。ありがとう、心配してくれて」
20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/19(火) 01:00:23.20 ID:6oJFiQZgo
結衣「私作るから、まあゆっくりしててよ」
ちなつ「私も手伝います!」
結衣「大丈夫大丈夫、一人で作れるよ……あはは」
21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/19(火) 01:03:16.84 ID:6oJFiQZgo
その後、二人で居間でゆっくりした。
私は漫画を読んで、結衣先輩はゲームの続きをやっていた。
しばらくその時間が続くと、私は時計が気になってきた。
午後四時だった。
さすがに二日連続で外で食事をしてくるのはまずかった。
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