過去ログ - 咲「愛を失くした日」爽「愛が芽生えた日」
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1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/20(水) 00:43:44.91 ID:1cIwfeRo0
溜め息をついて、星ひとつ見えない夜空を見上げた。

大学の仲間内での遊びに付き合い、そろそろお開きにしようと別れた後。

夜もだいぶ更けたというのに今だ喧騒を見せる街並みを爽は通り抜ける。

早い所、家に辿り着かなければこの空の様子だといつ雨が降り出してもおかしくなかった。

そもそも「夜半には雨が降るでしょう」と朝方のニュースで見たときに今日の誘いは断っておくべきだったのだ。

爽はまた溜め息をひとつ吐く。

上京してからというもの、どうも家に居ても外で遊んでも鬱々とした気持ちが晴れない。

わざわざ濡れ鼠になりに外に出ることはなかったと内心苛つく気持ちで眉を潜め、足を速めた。

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2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/08/20(水) 00:47:13.70 ID:1cIwfeRo0
ようやく駅前の広場が見えた頃にはポツポツと顔に水滴が落ちてきていた。

歩いているうちに次第に激しくなる雨の勢いにタクシーを拾おうかと逡巡したが、

それほどの距離ではなく運転手に嫌な顔をされそうだったので止めることにする。
以下略



3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/08/20(水) 00:49:21.34 ID:1cIwfeRo0
その姿にぴたりと足が止まる。

小さな広場の中心にある噴水の前に、以前見たことのある人物が立っていた。

茶色の髪を降り始めた雨に濡らしながら前を見つめる視線には見覚えがあって。
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4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/08/20(水) 00:52:01.17 ID:1cIwfeRo0
あの大会で、彼女は敗者である自分のことなど視界に入っていなかったに違いない。

それは憶測でもなんでもなくて確かな確信。

すぐ横を通り過ぎた自分に、彼女は一度も目をくれようとすらしなかったのだから。
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5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/08/20(水) 00:55:29.49 ID:1cIwfeRo0
冷たい雨に打たれていたせいかもしれないと思うことにして、

ようやくたどり着いたアパートの入り口へと足を踏み入れた。

風邪を引かないうちに温かいシャワーでも浴びてさっさと寝ようと、
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6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/08/20(水) 00:58:30.29 ID:1cIwfeRo0
きっともうその人物は現れて一緒にどこかへと去っただろう。

洗ったばかりの新しいタオルを棚から取り出して浴室にかける。

濡れて体に張り付く衣服を脱ごうとして、手を止めた。
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7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/08/20(水) 01:00:59.44 ID:1cIwfeRo0
我ながら馬鹿なことをしていると思いながらも、雨の中広場へと出る階段を急いで駆け上る。

赤の他人にしか過ぎないのに、なぜこんなに急いでいるのか自分でも理解できないまま。

そもそも居るかどうかも分からないというのに。
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8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/08/20(水) 01:03:47.97 ID:1cIwfeRo0
きらきらと光る水滴を跳ね返しながら、顔を上に向けている艶やかな姿に息を呑んで立ち尽くす。

天を向いているせいで彼女の表情は見えない。

驚愕が抜け切らないまま、爽はゆっくりと彼女の方へ足を進める。
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9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/08/20(水) 01:07:00.20 ID:1cIwfeRo0
あと数歩なのに。

彼女をいつまでも冷たい水の中に浸からせておくべきではないと頭では分かっているのに。

身に光を浴びて、ただ水に打たれて立ち尽くす彼女に声すらかけられないで立ち尽くす。
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10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/08/20(水) 01:09:58.04 ID:1cIwfeRo0
甘い表情を浮かべた彼女は瞬きもせず。

瞳に自分を映したまま掠れた声で笑った後、

ゆらりと揺れて倒れそうになるのに、慌てて手を伸ばして支えた。
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11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/08/20(水) 01:14:21.08 ID:1cIwfeRo0
ほの暗い灯に照らされて眠る表情は、

酷く苦しそうだった当初に比べると幾分か穏やかには見えるが

それでもまだ呼吸は荒く、白い顔には赤が交じっている。
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12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/08/20(水) 01:16:58.73 ID:1cIwfeRo0
早く彼女を楽にさせようと焦っていたせいで自分のことは後回しにしていたのだと苦笑する。

今だ呼吸の荒い彼女が気がかりだったが、

目を覚ましそうになかったので部屋を出て浴室へと足を向けた。
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13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/08/20(水) 01:20:16.23 ID:1cIwfeRo0
自分でも説明の出来ない衝動に任せて彼女を連れてきてしまったが、

思ったよりやっかいかもしれない。

今さらのように自分の考えなしの行動を後悔する。
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14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/08/20(水) 01:23:14.80 ID:1cIwfeRo0
そろそろ目が覚めるかもしれないと思いながら様子を見に寝室へと近づくと、

中から苦しげな呼吸と共に掠れた声が微かに聞こえてきて慌ててドアを開けた。

彼女が眠るベッドに近寄り、火照った顔を覗き込むとまだ瞳は閉じられていて、
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15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/08/20(水) 01:27:58.76 ID:1cIwfeRo0
ふるりと瞼を一回振るわせた後、其れをゆるりと解いて

彼女は瞳を薄暗い虚空に漂わせ始めた。

夢現のような表情でぽっかりと開いた双眸を、
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16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/08/20(水) 01:31:22.86 ID:1cIwfeRo0
甘い笑みでにっこりと笑って口を尖らす様を見て、胸の痛みが増す。

咲「…遅いです。どれだけ待ったと思ってるんですか?」

熱に浮かされた表情のまま拗ねるように甘える姿に、気づけば自然と口が動いていた。
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17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/08/20(水) 01:36:24.26 ID:1cIwfeRo0
咲「…ッ、もっと」

ねだられるままに与える。

また涙をはらはらと零し始めた眦にも唇を寄せた。
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18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/08/20(水) 01:39:29.49 ID:1cIwfeRo0
眉を寄せて荒く息を吐く咲を見つめながら、身体の奥深くを暴く。

指で柔らかな秘肉を割り開いた。

咲「やっ…んんっ」
以下略



19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/08/20(水) 01:43:37.67 ID:1cIwfeRo0
眉を顰めて快感に喘ぎながらも、涙を流し続けたままの姿は胸に痛くて。

涙が止まるのを祈るように爽は口付けを与え続ける。

何度も、優しく、深く。
以下略



20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/08/20(水) 01:47:46.38 ID:1cIwfeRo0


咲「先輩…っ、…す、き…ッ」


以下略



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