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2014/08/29(金) 23:27:40.62 ID:iKztUeSj0
目的地に着くと、父が走らせていた車が停まる。
私の体を揺すりながら、父は「着いたぞ。」と一言。
まだ寝惚けている眼をこすりながら目を開けると、そこには見たことのない景色が広がっていた。
それもそのはず。何故なら私はこの場所に来るのが初めてだったからだ。
萩原雪歩、7歳。これは私がある人物と経験した一夏の冒険譚だ。
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2014/08/29(金) 23:29:06.62 ID:iKztUeSj0
「着いたの?」
私が確認するように問うと、父は大きく頷く。
どうやらここが今日から1ヶ月間住む別荘らしい。
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2014/08/29(金) 23:30:04.71 ID:iKztUeSj0
「おかえりなせぇ旦那ァ!」「お、雪歩嬢もでっかくなりやしたねぇ!」
玄関を開けると、こんな声がいくつか飛び交う。男の人が苦手な私は咄嗟に父の後ろに隠れた。
この人たちは父のお弟子さん。なんの仕事なのかは把握していないが、強化合宿のためにこの別荘に先に来ていたそうだ。
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2014/08/29(金) 23:30:51.58 ID:iKztUeSj0
夕食後、再び部屋に戻り鞄を開くと、日記帳と筆記用具を取り出した。
「今日の日記書かないと…」
【7月28日】から書き始め、今日の出来事を書き留める。
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2014/08/29(金) 23:32:01.89 ID:iKztUeSj0
翌朝、「いち!にぃ!さん!しぃ!」と威勢の良い声がいくつも鳴り響く横で、私も小さい音を発する。
ラジオ体操が終わると、朝食の準備が始まる。朝から忙しないと思ったが、みんな口を揃えて毎年のことだと言う。
食事中、父が私にこんな話をした。
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2014/08/29(金) 23:33:09.18 ID:iKztUeSj0
私は正直不安だった。何故なら今まで一人になったことがなかったからだ。
一人で小学校に行けると言っても友達と一緒だし、知らない土地を一人だけで歩くのには抵抗があった。
許可をもらっただけなので無理に出かける必要はないだろうと思い、私は結局出かけないことにした。
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2014/08/29(金) 23:34:44.87 ID:iKztUeSj0
宿題をしていた私は、休憩のために台所に入りコップに水を注いでいた。すると、すぐ隣で電話が鳴ったのだ。
部屋にいたら聞こえなかっただろうと思いながら受話器を取ると、父の声が聞こえた。
「おお、雪歩。家に居たのか。ちょうどよかった」
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2014/08/29(金) 23:35:36.44 ID:iKztUeSj0
大きな麦わら帽子を被り、外に出ると太陽がカンカンに照っていた。
ペットボトルの水を一口だけ口に含み、歩き出した。
1キロメートルくらい歩いたところで、大きな川が見えた。
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2014/08/29(金) 23:37:15.28 ID:iKztUeSj0
ふと、頭部に違和感を感じる。風でも吹いたのだろうか。頭に被っていた帽子がない。
「あれ…?」
自分の頭を何度も叩いて確認したが、それらしき感触はない。
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2014/08/29(金) 23:38:08.34 ID:iKztUeSj0
泣きながら歩いていると、目の前の木に見覚えのある麦わら帽子が引っ掛かっていた。
幸い低いところに掛かっていたので、少し背伸びすれば小さな私でも取ることができた。
「よかったぁ…」
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