31: ◆N7YbsBIT3ELs[saga]
2014/09/01(月) 22:00:44.16 ID:b1HKoC2c0
「だんまりかよ。まあ、違うなんて嘘吐いたら、舌をちょん切ってやんだけどさあ」少女は笑いながら理不尽な台詞を飛ばすと、地を蹴った。
風のように、わたしの横を抜け、少女は一直線にレインコートへ迫った。
レインコートの一歩手前で、足に力を込め急停止し、死んでいない上半身の勢いに任せ腕を振った。鋏が口を開け、襲いかかる。
レインコートは身を翻しつつ、それを躱した。雫が飛ぶ。空を切った鋏が閉じた。
レインコートが再び少女に向き直った瞬間、紫電が走った。
少女は咄嗟に後退する。
レインコートの右手に銀色の輝きがあった。いつの間にかナイフを手にしている。わたしは息を飲む。こいつが、雨男。世を騒がす殺人鬼。
「やってくれんじゃないの。黙って八つ裂きにされる気はないってわけね」少女が左の二の腕辺りを押さえた。雨男の反撃を躱し切れなかったのか。
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