過去ログ - 勇者(Lv99)「死にたくても死ねない死なない俺と、殺そうにも殺せない殺したい魔王」
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[saga]
2014/09/08(月) 21:33:33.81 ID:YtpFI3Ae0
魔王「……」
魔王はじっと、女の魔王にいたぶられる勇者を見ていた。
必死に反撃する勇者、血を流しながら、残り少ない魔力で戦っている。
対し女の魔王は、そんな勇者を嘲るように、攻撃をすべてノーガードで受け止め、殺さないよう注意しながら、まるで虫を痛めつけるように勇者に傷を負わせている。
勝負は、誰の目にも明らかだった。
それもそうだろう、この女の魔王は魔界序列第5位の実力者だ。
最弱の魔王と互角である勇者に、もとより勝ち目などあるはずがない。
細目の魔王「悔しいかい?」
魔王「!」
突然耳元で声を発した細目の魔王に、魔王は驚いて視線をむけた。
細目の魔王「君、気づいてないかもしれないけど、あの勇者が来たとき、口元が緩んでいたよ」
魔王「え?」
細目の魔王「あー、やっぱり気が付いていなかったか」
魔王「私が……笑っていた?」
なぜ? 笑う?
細目の魔王「……」
視線を床に向け、思考をめぐらす魔王へ向け、細目の魔王は口を開いた。
細目の魔王「僕はね、君が苦戦するあの勇者に、興味があったんだ」
魔王「…?」
細目の魔王「以前、君からもらったスライムがいるだろう?」
魔王「…ええ」
魔の物にして勇者の仲間になったスライム、その貴重なサンプルを、魔王は魔界に提供していたのだ。
細目の魔王「……もしあの勇者がここに来た理由に、あのスライムが関係しているとしたら」
魔王「…?」
魔王は、細目の魔王の言葉の意味を図りかねていた。
細目の魔王「ひょっとしたら、僕たちはもう、負けているのかもしれない」
魔王「!?……それは一体…!」
細目の魔王に問いを発しようとした魔王は、そこではたと気が付く、その場から離れようとしていた魔王たちが歩みを止め、勇者を見つめていることに
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