過去ログ - 勇者(Lv99)「死にたくても死ねない死なない俺と、殺そうにも殺せない殺したい魔王」
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[saga]
2014/09/03(水) 21:53:45.53 ID:0i+UKr460
――……
神官「……勇者」
教会、ステンドグラスからそそぐ光に目を細め、勇者は静かに、自由の利く体を噛みしめた。
いつぶりの自由だろうか
勇者「今何時でしょうか? すぐにでも王に報告したいことが……っ」
しゃべり、動き出そうとした勇者はその場にかがみこんでしまった。
神官「勇者、大丈夫か?」
勇者「大丈夫です、少し体に違和感があるだけですので、それよりも、早く王に報告したいことがあります。ことは一刻を争うのです」
神官「…うむ、わかった。司祭、事情は分かったな? すぐに城へ向かいなさい。私は勇者の介抱をする」
近くにいた若い司祭の男がうなずいた。
司祭「…わかりました」
勇者「いえ、俺が…」
神官「勇者、あなたは疲れているのです、死んだばかりだ、無理もない、とにかく一度腰を落ち着け、何か温かいものを飲んでから、城にむかいなさい」
勇者「しかし……」
神官「みなさい、体が震えているではありませんか、今シスターに温かい飲み物を用意させます、それまでおとなしくしているのです、いいですね?」
勇者(確かに……体も思うように動かないし、気分も悪い…)
勇者「……わかりました」
勇者は、教会の椅子に座ると、一度大きく息を吐いた。
勇者(スラきちは…うまくやっているだろうか、それとも…俺が最後なのだろうか?)
勇者「神官さま、私の仲間はこちらにいらしているでしょうか?」
神官「!…今はそんな事よりも、自分の回復に努めなさい」
勇者「神官さま、そんな事ってどういうことです? 何かご存じなのでしょうか?」
神官「後で話ます、今はとにかく気を落ち着けなさい」
勇者「いえ、今すぐ教えていただきたい、私の仲間は、何人、こちらに来しました?」
神官「……一人……です」
勇者「誰です?」
神官「……僧侶が、あなたの来る5時間ほど前に」
勇者「! 彼女は今どこに?」
勇者はふらつきながらも立ち上がった。
神官「会わない方がいい」
勇者「!? なぜです? まさか醜い姿で転生されたとか?」
神官「いや、女神の転生を経れば、肉体に対する傷も呪いも正常状態時に戻ります」
勇者「! ではなぜ!?」
神官「心です、彼女の心は……壊れてしまっていた」
勇者「……!」
神官「もはや意思の疎通はとれず、日常生活は不可能、あんなに信仰熱心な子だったのに……残念だ」
勇者「合わせてください」
神官「勇者よ…」
勇者「お願いします」
神官「……」
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