2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/09/12(金) 09:24:24.58 ID:YEnzxIxj0
『日本人?おいおい、ここは観光地じゃないぞ。とっとと帰れ。じゃないと鉛弾をケツ穴にブチ込むぞ』
『待ってくれよ、俺は買い物に来たんだ』
『尚更出てけッ!日用品が欲しかったらバザールにでも行くといいッ』
男はめんどくさいなと思う。
自分たちの売り物の事を完璧にわすれさっているじゃあないか。
まあ、日本人がこんな事をするなんて聞かないな。案外世界初かもしれない―――
そんなことを思いながら、ターバンの男にやれやれと言った。
『……俺は人を買いに来たんだ。売ってるだろ?』
『……正気か?日本人』
『至ってな。希望は十代前半。できれば……そうだな、黒髪がいい』
『んな都合のいいオーダーが……待
てよ……ちょっと待ってろ』
ふと思い出した様に男は廃屋に入って行く。五分ほどすると、仕立てのいいスーツを来た初老の男が変わりに出てきた。
髪は所々に白髪が混じり、サングラスをかけている褐色の男だ。こいつが総元締めなのだろうか。
『ああ、どうもお客さま!!日本人の方のようで……で、商品の話ですが、オーダーの通りの娘が一人おります』
『……へえ、ほとんど冗談みたいなもんだったんだがな。いくらだ』
『ですが、既に予約が入っておるのですよ……予約している方は、5億で買うと仰っております』
『……10億出そう』
『毎度あり。それじゃ、中へどうぞ』
初老の男に付き従い廃屋に入っていく、屋内は外よりよっぽどホコリっぽくて、思わず咳が出てしまう。
『ハッハッハ……綺麗な空気を常に甘受してらっしゃる日本人だと、ここの空気はちと合わないかも知れませんな』
『……日本でも汚いところは汚いんだがな。ここの空気は砂が混ざってる分タチが悪い』
しばしホコリっぽい廊下を進み、やがて初老の男は廊下のつきあたりにある両開きのドアで立ち止まる。
『さて……お客様。これから見せる商品をお売りになるのは構いませんが、何のお仕事をやってなさるんで?』
『……わざわざ予防線を貼らずともきちんと払うが』
『いえいえ……ですが時たまいるんですよ。料金を踏み倒す成金の坊ちゃんがね……もちろん、先方まで出向いて頂きますが』
『それは相手の命か?それとも金だけか?』
『両方ですよ……で、何のお仕事を?』
再び聞いてくる初老の男は、いつの間にか内ポケットに手を突っ込んで何かを弄っている。
舌打ちをしたい気分だ。きちんと金は払うつもりなのにどれだけ用心しているのだろう。
『……仕方ない』
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