過去ログ - 小説家『……』
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5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/09/12(金) 09:26:57.89 ID:YEnzxIxj0
「……旅行中に、紛争に巻き込まれたので」
「聞いたよ。どんぐらいあこそでうりに出されてたんだ?」
「三年半です」
「一桁の時からか、そりゃご苦労なこって。よく今まで売れなかったな」
「…………一年ぐらい前から、急に男の人があの部屋に来る頻度が上がりました」
「はー、なるほどねぇ。醜いアヒルの子は白鳥の子だったって事だ」
「…………」
「とりあえず安心しろよ。もうあそこでゲロみたいな食事を食うこともない。綺麗な服も着せてやるし風呂にも入れてやる。ただし……」
「変なことするんでしょ」
その声は今にも掻き消えてしまいそうな程か細かった。
男は目を2回しばたたかせ、やがて残念そうに言う。
「知ってるのか。あそこではテレビでも見せてくれるのかい?」
「……何となくは、もうずっと昔の記憶ですけど。うちのテレビでそんな感じのドラマがやってたので。女の人はもう少し年上でしたけど」
「へえ、随分と記憶力が良いじゃない。名前は?パスポートにはまだ名前を書いていないんだ。教えてくれよ」
「……八坂瑠璃(やさかるり)」
「OK、瑠璃。まず言わせてもらうけど、俺がお前に『変なこと』をするのは確定事項だ、だがな、それは性欲を発散するためとかそんなチンケな理由じゃない」
男の舌はよく回る。軽快に、うまくアクセントをつけて。
よく両親にホストでもやったらどうだと言われていたものだ。
まあ、今では全く違う事を飯の種にしているのだが。
「俺がお前に変なことをする理由はな、経験のためだ。俺の仕事に最も必要である、な……」
「……?」
「小説家って言えばわかり易かったか?俺はこの仕事じゃなかなかに問題児でな、作品を書くに当たっては経験しないと筆が進まないんだ。だから今までなんでもやってきたよ」
「……そんな、なんでもなんて」
「本当になんでも、さ。俺の処女作は猫を殺し続ける少年の物語だった。なんでかって言われると俺は高校生の時分は猫のハラをカッターナイフでかっさばいて川に捨てるのが趣味だったからさ」


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