6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/09/12(金) 09:28:06.34 ID:YEnzxIxj0
信じられないことをさも当然のように語る男に少女―――瑠璃は嫌悪感をむき出しにし、ずり、とドア側に身を引く。
「俺が次に書いた小説は女を引っ掛けてクスリにはまらせて金を搾り取るクズの物語だった。まあ最後はご都合的に幕を引かせてもらったがな。これの理由もさっきと同じ、女をクスリにはまらせて金を搾り取るのが俺の大学生の時の趣味だった」
そして三作目は、と男が続けようとしたところで、瑠璃は小さく言った。
「もうやめてください。聞きたくないです」
それを聞いた男は弁舌をぴたりと止め、そうか。と言った。
「不愉快か?」
「きもちわるいです。なんでそんなことができるんですか」
「なんでかって言われてもな、俺はそう言う人間なんだよ。書きたいと思ったら経験しないとムズがゆくなる。皮膚の内側からダニが食らいついているかのようにな。今回の作品は幼い女の子を犯して飼い殺しにする御曹司の物語だ。最後はまだ決めてないけどな」
無表情に言い放つ男、瑠璃がもうやめてくれと言ったのを完璧に忘れている。
「これでもあっちじゃ売れてるんだぜ?外国進出もしてるしな。映画化もバンバンされてる。そんでちらりと溜まった金を株に出したら……大当たりさ。おかげさまでいろんな経験ができてる。今じゃ俺の資産の殆どは小説の金さ」
自費出版で売れるってのはうれしいねえと男は言う。無表情な顔、唇のみをわずかに釣り上げながら。
「ところで、今の気持ちはどうなんだ?瑠璃」
ぐるん、と首を瑠璃に向ける男。
「なんでそんなこときくんですか」
「経験だよ、紛争で親を殺され売られ買われ犯されるってはたから見りゃ最悪の人生を送っているお前の経験からくる一言を頼むよ」
きっとそんな人生を送ってきたお前なら月並みな言葉でも重みが違うだろうから。と男が楽しそうに言う。
瑠璃は唇を噛み締め、絞り出すように言った。
あぁ、とんでもない男に買われてしまったなと己の悲運を嘆きながら。
「……最悪です……ッ……」
爆発する寸前の様な瑠璃の声を聞いて、男は予想通りとばかりに唇を歪めた。
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