12: ◆8HmEy52dzA[saga]
2014/09/16(火) 20:09:30.33 ID:sCBd7Qvo0
「と、とにかく落ち着いて」
錯乱する安部さんを落ち着かせ、とりあえず軒先で騒ぐのもよろしくないので、安部さん宅……じゃなかった、ウサミン星に上げてもらった。
ウサミン星はレトロを基調とした文化なのだろう、和風の装いに溢れた古き良き内装をしている。
この季節だと言うのに炬燵があるのは、ウサミン星人独特の文化なのだろうか。
関係ないが部屋着なのか、安部さんはジャージ姿だった。
胸元に『安部』と印字されているあたり、学生時代のものと推測される。
「すいません、散らかってて」
2Lペットボトルに入った水出し麦茶を机に出しながら、苦笑いを浮かべる安部さん。
立ったままも何なので、炬燵の外側に座る。
散らかっている、というのは突然の来客に対するテンプレートだが、ウサミン星は謙遜ではなく本当に散らかっていた。
魔境とも呼べる双葉や神原の部屋ほどではないが、そこかしこに脱ぎ散らかした靴下や空のスナック菓子の袋、ペットボトルが何本か転がっている。
缶ビールの空き缶も何本か落ちていたが、未成年の安部さんが飲酒をする訳がないのでノンアルコールに違いない。
ああ、掃除したい。
こうも雑然とした部屋を見ていると掃除がしたくなる。
しかも安部さんの部屋だ。
神原に鍛えられているので掃除は得意だし。
「いえ、お構いなく……なんでこんな夏に炬燵が?」
「あ、あはは……片付けよう片付けようと思ってたらいつの間にか夏になっちゃいまして」
どうやら安部さんはいつもの真面目なアイドル生活に対し、私生活は割と適当らしい。
……呆れるというよりは、実際のところ生活臭溢れる安部さんは貴重なので素直に楽しい、というのが本音だけれど。
「本題に入りますけど……どうしたんですか、それ?」
「どうしたもこうしたも……朝起きたらこんなのになっちゃって……」
「心当たりとかはないんですか?」
「身体が透ける心当たりなんてありませんよ……」
それはそうだ。
数多くの怪異と関わってきた身としては怪異の仕業かとも思うのだが、ウサミン星人とはいえ一般人の安部さんに理解しろという方が酷だ。
身体が透ける、なんて十中八九怪異が原因だと思うのだけれど。
本人に自覚はないようだし、巻き込まれたか、無意識の内かはまだわからないな……。
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