13: ◆8HmEy52dzA[saga]
2014/09/16(火) 20:12:09.22 ID:sCBd7Qvo0
「安部さん、僕はこう見えてもこういう超常現象には割と詳しいんです。何でもいいですから、気が付いたこととか、いつもと違うことはありませんか?」
「気が付いたこと……あ、そうだ。何だか身体もちょっといつもと違うんですよ」
「いつもと違う……とは?」
「ちょっと見てください」
安部さんは立ち上がると窓を全開まで開け、外に向かって手をかざす。
「?」
何をするのかと見ていると、大真面目な顔で手のひらを外に向けていた安部さんの身体が、神々しくも光り出した。
「いっ!?」
「ウサミン☆ビ――――――ム!」
「――――――――――」
安部さんの手のひらから発射された光の束は、高速で空へと向かうと、某魔法少女の弓のように曇り空を割って空模様を快晴に変える。
あり得ない。
ビームの物理的な衝撃の余韻で風が起こり、僕の髪を強く棚引かせる。
しばし茫然自失としてしまったが、ただでさえ古い木造アパートが軋む音で我に返った。
頬がひくつく。
言葉が出ないどころの騒ぎじゃない。
呼吸をするのも忘れそうなほどのインパクトだった。
ちょっと待ってよ安部さん。
ビームって。
ビームって。
二回も思ってしまったじゃないか。
「う、ウサミン星の方々は手からビームが出せるんですね……」
あたかもアニメのような光景を目の前にして数秒、やっと出たのはそんな間抜けな言葉だった。
「出せる訳ないでしょう! いや今は出ますけど、やってみたら何故か出たんですよ! やたら身体の調子もいいですし!」
何故かビームが出るって言うのも凄い台詞だ。
もし僕が同じ立場ならばかめはめ波を出すだろう。
と言うか、やってみたのか安部さん……。
ビームを出そうと構えを取る安部さんを想像する。
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