18: ◆8HmEy52dzA[saga]
2014/09/16(火) 20:21:49.24 ID:sCBd7Qvo0
「安部さん。率直に聞きます。神様になりたいですか?」
「…………」
自分で問うておきながら、分からないことがある。
もし、安部さんがなりたい、と言ったのなら。
僕は、どうするべきなのだろうか。
そのまま見届けるのか、それとも僕の我儘で留まってもらうのか。
僕は、安部さんにいなくなって欲しくない。
担当アイドルだから、なんて理由じゃない。
『神様なんて損な役割』、安部さんに背負って欲しくないんだ。
当の彼女は何を思うのか、数秒、目を伏せていたかと思うと、顔を上げる。
「まっぴら御免です」
にこり、といつものように笑い、安部さんは続けた。
「神様って、要するにずっと変わらない、ってことでしょう? ナナには身体がある。その内側に血が流れていて、中心には骨がある。それは、生きてる証です」
人間もどきの僕ですら、血は流れ、心臓は鼓動を続けている。
神とは、成長しないものだ。
何しろ成長する必要がない。
もう神と成った時点で完成している。
神である以上は完璧でなければならないからだ。
完璧であるならば、何かを変える必要もない。
「ずっと変わらないものになるなんて、絶対にイヤです。どんなものでも、変わるから面白いんですよ」
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