19: ◆8HmEy52dzA[saga]
2014/09/16(火) 20:23:28.56 ID:sCBd7Qvo0
思わず頬が緩む。
ああ、流石は安部さんだ。
老いない、朽ちない、死なない。
そんな時間の括りを外された存在は、前進することが出来ない。
いつか忍も言っていた。
不死身の身体を持ったところで、得るべきものなど何もないと。
友を作っても一緒に朽ちることは出来ず、何かを成しても最後には退屈に殺される。
神様なんてものは結局のところ、人間によって作られた都合のいい存在でしかない。
人間が困った時に一方的に願いを押し付けられ、祀り上げられるだけの存在だ。
八九寺のような例外中の例外はともかく、人が人であることを捨てるなんて、勿体無いにも程がある。
「それに、神様になっちゃったらトップアイドルになれませんもんね!」
「ええ、それは安部さんが安部さんでなければ出来ない事です。神様ごときに、出来る事じゃない」
そう、安部さんを含むアイドル達が目指す場所は、神様なんかじゃ到底辿り着けない地点だ。
人の身でなければ叶わない。
そんな夢だ。
「ナナ、これからも頑張りますね!」
可愛くガッツポーズを決める安部さんは、何よりも頼もしく見えた。
アイドルに神々しさなんて必要ない。
必要なのは、人を惹きつける力。
それは外見だけではない、一個の人間としての総合的な魅力だ。
そして安部さんは、それを十二分に備えている。
小さな頃からの夢を諦めずに追い続けるその姿は、何よりも尊く美しい。
貴女をプロデュース出来ることを、嬉しく思う。
口には出さないけれど、そう、強く思い至った。
「さて、じゃあ早いところ元に戻れるよう対策をしましょう」
「そうですね。どうすればいいんでしょうか?」
そうだった。
忍は神になりたくないなら態度で示せ、と言ったが具体的に何をすればいいのかは聞いていない。
態度で示すって……なんだ?
「なあ忍、何をしたらいいんだ?」
「ぶっちゃけりゃよかろうよ」
「え?」
「え?」
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