22: ◆8HmEy52dzA[saga]
2014/09/16(火) 20:29:23.34 ID:sCBd7Qvo0
「ナナはずっと変わらないのに、周りのみんなは年老いて死んでいく……そんなの、自分が死ぬよりもイヤです」
退屈で死んじゃいますよ、と笑いながら安部さんは言った。
いつしか忍も言っていた。
不死は死と同義だ。
孤独という名の死。
退屈という名の死。
死ねない者に変化はない。
あっても、それは流れる川に小石を投げ込む程度の変化でしかないだろう。
キスショットも、変わろうとして変われなかった。
それはきっと、不死というコンプレックスが根底にあったからだ。
だから、変わるために死ぬしかなかった。
人間はいい意味でも、悪い意味でも変われるから強い。
逆を言えば、変われるからこその人間だ。
僕は高校三年生の春休み、大きく変わった。
それはもう、文字通り一度死ぬレベルの改変だ。
阿良々木暦という人間があそこで終わったのか、今もまだ続いているのかは、僕自身にはわからない。
わかる筈もない。
あれから僕は変われたのだろうか。
これからも、変わってゆけるのだろうか。
「一緒に変わって行きましょうね、プロデューサーさん!」
「ええ……そうですね」
僕は一度終わった人間だ。
その後に化物としても一度死んでいる。
それでもなお生き汚なくこの世界にしがみ付いている。
それならそれでもいい。
死も不死も噛み締めた僕だからこそ、出来ることもあるだろう。
それに、彼女たちとなら、例え今の僕が不死でも、化物だろうと、変わって行ける気がするのだ。
「とりあえず、ついでに今後の安部さんの方針について話しましょうか」
「はいっ!」
「……と、その前に部屋の片付けをしましょう」
この部屋に入った時から気になってはいたのだ。
こんなに散らかっていると掃除の虫が騒ぐ。
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