5: ◆8HmEy52dzA[saga]
2014/09/16(火) 19:51:30.64 ID:sCBd7Qvo0
002
「皆さん元気ですかー! 元気ですねー!? それでは乾杯の音頭を不肖、わたくし日野が……って杏ちゃーん!」
「日野、もう少しボリュームを落とせ」
「私のステージがー!!」
日野茜、十七歳。
向こう見ずで常に全力疾走なパワフル乙女。
花より団子より身体を動かすことが好きな猪突猛進な子で、僕の話を微塵も聞いちゃいないことからわかるように、火憐ちゃんとある意味同類のアイドルである。
愛情表現なのだろうが、挨拶代わりに鋭角タックルを決めるのはやめて欲しいところだ。
「んぁ? あぁ、ごめんごめん……むぐ、ウマいねこれ。かな子ちゃんが作ったの?」
「ああもう、口周り汚れてるぞ双葉」
「ふいてー」
日野の言葉は何処へやら、常時リラックスモードで口の周りをチョコクリームで彩りながらケーキを頬張る一際小さな彼女の名は双葉杏、十七歳。
どう見ても十七歳には見えないが、僕が直々に戸籍謄本まで引っ張り出して確認したのだから間違いはない。
汚れた口周りをティッシュで拭いてやるその様は、どう考えても小学生にしか見えないのだけれど。
「うん、最近チョコケーキ作るのに凝ってるんだ♪」
「あんまりつまみ食いし過ぎてリバウンドするなよ、三村」
「し、してませんよ!」
反論しつつもケーキを一口、幸せそうに顔を綻ばせるのは三村かな子、十七歳。
あの様子だとまた体重が増えたのだろう。
今度、体重計に乗せてやるのは確定として、ケーキとダイエットというメビウスの輪に囚われた蜂蜜メレンゲの妖精だ。
周りのアイドル達が細すぎるせいで自分の体型を気にしているようだが、僕から見たら三村は普通の体型と言わざるを得ない。
それに僕は痩せている三村なんて三村とは認めない。
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