過去ログ - 傭兵「この世でお前が一番大事」僧侶「じゃありま……えっ?」
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42: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/09/21(日) 08:32:32.67 ID:PenK6jnl0

傭兵「とりあえず、だ」

 ここでようやく意味のある言葉を彼が吐き出しました。わたしの肉体がそれによってびくりと振るえ、硬直したのを好機と見て、漂っていた精神がようやく肉体を取り戻します。

傭兵「聞こえたってのは、つまり、あれだろ?」

 わたしは昨夜の出来事を思い出し、また顔に火がついた思いに囚われます。鎮火作業に手一杯で喋ることなどできませんでした。
 代わりに首をぶんぶんと縦に振って、同意を示します。随分と力強い同意になってしまいましたが。

傭兵「ん、まぁ、悪かった。気にしていたつもりでは、あったんだが、なんていうか、その……調子にのっていたというか、うん。とにかく、悪かった」

 僅かに伸びた無精髭に手を当てます。落ち着かないのでしょうか。

 そしてわたしは寧ろ落ち着いていました。先ほどまでの狂騒はどこへやら、水滴の漣すら湖面に見つけることはできません。
 明鏡止水とはこのことなのでしょう。心が地盤沈下して、落盤崩壊して、全ては最下層へまとめて叩き込まれた。落ちるところまで落ちて、これ以上落ちる余地はなく、そして這い上がることなんてできやしない位置なのです。

 傭兵さんの肯定が、まさかそれだけの破壊力を秘めているとは、何よりの予想外でした。



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