9: ◆297.OiRF9k[saga]
2014/09/23(火) 21:41:39.99 ID:ZGINhB0zo
「あ――プロデューサーさん」
小鳥さんがドアの前でおれを振り返る。
小鳥さんは指をもじもじと髪留めのカチューシャに這わせている。
「あのその――プロデューサーさんはそういうのに興味があったんですね」
「はい?」
「あの――覚えてらっしゃらない?」
「はあ。おれなにか言いましたか」
「あ、あの。あぁな………」
小鳥さんの声はかすれて最後の方までは聞き取れなかった。
小鳥さんの顔は耳元まで赤らんでいる。
実はおれの方も起きた瞬間に四条貴音のことを考えていたという意識があり
心当たりがあるだけにどきどきしてきたがここはとぼけ通すしかなかった。
「あは。何を言ったのやら覚えていないです」
「い、いえ。覚えていないのなら何でもないですわ」
小鳥さんは息をふうと吐くとカチューシャを外しバッグの中に入れた。
そしてコートを羽織りドアノブに手を掛けた。
「あの悩み事があるなら相談してくださいね。私に出来る範囲なら何でもしますから」
小鳥さんはそう言い残し顔を赤くしたまま足早と帰って行った。
彼女の足音が遠くに消え去ったのを確認してからおれはコーヒーを一気に飲み干した。
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