過去ログ - にこ「余命幾許もない私と」真姫「私」
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32: ◆gDTYF1szXU[saga]
2014/10/17(金) 17:08:26.83 ID:bug6hAgWO
「そ、そんなの嘘よ!」

(そりゃそうよね)

いくら真姫ちゃんでも、こんな話をいきなり信じるほどおめでたい頭の作りをしている訳ではなさそうだ。

「どうして嘘だと思うの?」

「だって、昨日の話よ!それなのに、今日になっていきなりそんなこと言われたって……」

「真姫ちゃんのこと好きだよって、昨日も言ったじゃない」

「で、でもっ」

私の言葉にいちいち反応して頬を染める真姫ちゃんは、素直にかわいいと思った。

「でも、信じられないわよ!そんなのっ!」

「…………そう」

切なげな余韻を響かせて、部室に沈黙が満ちる。

真姫ちゃんの荒い息遣いだけが、停滞した二人の間の空気に動きをもたらしているような、そんな錯覚。

「そうよね。ごめんなさい」

重苦しい沈黙の中、僅かな隙間を見つけて紡ぎ出した私の言葉に、真姫ちゃんは俯きかけていた顔を上げて。

その顔はもう知っている。何かに期待している、他力本願な時の真姫ちゃん。

「本当に、ごめんなさい」

だけど、その期待には応えてあげない。

真姫ちゃんに背を向けて、私は扉に向かって一歩踏み出す。

「──ッ!待って!」

そうして、欲しかったその言葉が、降ってくる。待っていたのは私の方なのだ。

「待ってよ、にこちゃん……」

今度はその言葉に応じて、私は今にも泣き出しそうな表情を作り真姫ちゃんの方へと振り返る。

(……負けた)

真姫ちゃんの方がずっと、泣きそうな顔。

けれど、これで確定した。

真姫ちゃんの気持ちは、もう止まらない。


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