過去ログ - にこ「余命幾許もない私と」真姫「私」
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40: ◆gDTYF1szXU[sage saga]
2014/10/26(日) 01:46:10.04 ID:SyN6Q9a4O
「……どうして」

冷めるどころか止めどなく溢れだしてくる熱に煽られるように、我慢できなくなった私は言葉を絞り出す。

「どうして今日になって、私と付き合う気になったの?」

言葉にすると一層その意味を自覚してしまう。

鏡を見なくとも自分の顔が真っ赤に染まっていることは十分に理解できた。

「……昨日ね」

一瞬、真っ赤な顔を茶化されるかと思ったけど、そんなことはなくて。

「真姫ちゃんから好きだって言われて、ずっと考えてたの」

にこちゃんは初めて聞く穏やかな声で、ゆっくりと話し始める。

「にこは同性愛のこととか全然知らなかったし、自分がそういう形で誰かと付き合うことなんて考えたこともなかった」

「…………ッ」

(そう……よね)

きっと、それが普通なのだろう。当たり前だ。おかしいのは自分の方だって、分かっていた。

「正直に言うとね、今日は学校に来て真姫ちゃんに会うのが怖かった。どんな顔して、どんな言葉をかけて良いのか、分からなかったから」


少しの間、気まずい沈黙が流れた。けれどそれをかき消すように、にこちゃんは深呼吸して、次の言葉を紡いでいく。

「でもね、だからと言って真姫ちゃんのこと避けたり、素知らぬ顔をしていつも通りに接したり振る舞うのも違うと思った」

今度は自身に発破をかけるように、少しだけ強い口調で。それでも相変わらず優しい声。

(昨日のことで悩んでいたの、私だけじゃなかったんだ……)

悲観的な気分に浸っていただけの私より、にこちゃんの方がよっぽど真剣に前向きに考えていてくれたのかもしれない。

「それでね、結局はどうしたら良いか分からなかったけど、それでも意を決して放課後の部室の扉を開けてみたら」

なんだか嬉しかった。ようやくにこちゃんの言葉に実感が伴ってきて、頬が緩むのが分かる。恥ずかしいから、顔は伏せておくことにしよう。

「真姫ちゃんが机に突っ伏してめちゃくちゃ落ち込んでたから、笑っちゃったわ」

……やはり、顔は見せられない。きっと今度こそバカにされてしまう。トマトみたいだって。


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