過去ログ - にこ「余命幾許もない私と」真姫「私」
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83: ◆gDTYF1szXU[saga]
2014/11/13(木) 23:30:20.07 ID:NV91PEd4O
早起きしたお陰で時間はたっぷり余っていて。

だから今日は気合いを入れて、念入りに髪をとかしてきた。

その甲斐あってか、今日のツインテールはばっちり決まっている。まあ、登校時間はギリギリになっちゃったけどね。

「おはよう、にこ」

下駄箱の前で声をかけてきたのは、絵里だった。

「おはよう。こんな時間に会うなんて珍しいわね」

生徒会長を務めていた頃からの習慣か、絵里の登校時間はいつも朝早い。こんな風に下駄箱前で会うのはμ‘Sの朝練がある時くらいだろう。

「今朝は寝坊しちゃったの」

僅かに頬を染めて、誤魔化すように絵里は笑った。

「ふぅん」

まあ、たまにはそんな事もあるわよね──なんて。適当な相づちと会話を交えながら、私達は3年生の教室まで共に歩いた。

「ねえ、にこ」

お互いクラスは別々だから、一緒に歩くのもここまで。また放課後ね、なんて手を振ったのも束の間、呼び止められる。

「体はもう……平気?」

ほんの僅かな淀みを含んで放たれた言葉は、核心を突くのに十分な切れ味を誇っていた。

「もう退院したのよ?平気に決まってるじゃない」

……ああ。また面倒ごとが増えてしまう。

「……そうよね。変なことを聞いてごめんなさい」

わかりやすく笑顔を張り付けて、絵里は教室へと去っていく。

寝起きの快調からは打って変わって頭が痛い。

絵里の背中を見送る傍らで、私はぼんやりとそんなことを思った。


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