過去ログ - にこ「余命幾許もない私と」真姫「私」
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88: ◆gDTYF1szXU[saga]
2014/11/13(木) 23:33:40.47 ID:NV91PEd4O
「……今日の放課後に」

部室の薄暗い蛍光灯の下。青白いにこの顔は輪郭さえもおぼろ気で。

「練習を見て、無理だと感じたらみんなに話すわ」

今年の夏に、にこを褒めた時のことを思い出す。あの時は確か、白くて綺麗な肌をしていると、そう言った。

彼女の病のことなど知らずに、そう言ったのだ。今にして思えば、なんて残酷な言葉だったことか。

あの時のにこは、何を思っていたのだろう。心のうちでは私に怒っていたのだろうか。

「……好きにしたら」

……きっと、そうじゃない。にこは私のことなど何とも思わなかったに違いない。

「そうなったら、あんたと顔を合わせてうんざりするのも今日が最後になる。それだけよ」

にこにとって、私の存在など取るに足らない程度のものでしかないのだ。

大事なのはμ‘Sそのもので、そのメンバーのひとりでしかない私への興味なんて驚くほどちっぽけ。

そうに決まっている。だから今更、私達の関係に発展なんて訪れない。

あとは死を待つだけの彼女なのだから、気を引こうとしたって無駄なんだ。

「……また放課後」

これ以上会話を続けても無駄と踏んだらしい。私の横を通り過ぎて、心底うんざりしたように彼女は告げた。

「ええ、また……」

あとで。と言い切る前に、扉は無慈悲な音を立てて私とにことを隔ててしまう。

あとに残ったのは如何ともし難い焦燥だけ。どうして気付いてしまったのだろう。何もかも手遅れなら、知らない方が幸せだったかもしれないのに。


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