過去ログ - 弟と稲刈りをした
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1:おじさん ◆nlCx7YJs2Q[saga]
2014/09/27(土) 20:21:05.76 ID:JLE6BIiyo


 農家の息子に生まれると、米の味にうるさくなってしまう。


 自分ではそんなつもりはなかったのだけれど、初めて市販の米を食べた時の物足りなさときたら、今でもありありと思い出せる失望感であった。


 決して市販されている米の味を貶しているわけではない。単純に実家で作った米の方が美味く感じるのだ。
舌がそれに慣れてしまっているのだろうか、それは解らないが。


 そんなわけで毎年、新米を楽しみにしている。


 それはどうも、今日ここにいない我妻や娘、息子もそのようで、それもあって、こうして盆正月以外では、久しぶりの帰省をしている。




 今日は稲刈りの日なのだ。




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2:おじさん ◆nlCx7YJs2Q[saga]
2014/09/27(土) 20:24:03.12 ID:JLE6BIiyo


 まだ若い三十の盛りの頃までは、私も意欲的に農作業に参加していた。
一人県外に就職したものの、何もせずおヨネに授かるのは気も引けた。
それに、まだ幼かった子ども達にも、どうやって我々の食べている米が作られているか、その一端であっても知っていて欲しかったのだ。
以下略



3:おじさん ◆nlCx7YJs2Q[saga]
2014/09/27(土) 20:25:40.92 ID:JLE6BIiyo


 先程までけたたましい音を立てて作動していた稲刈り機は田んぼの真ん中で停止している。
彼の作業を中断させてしまったわけだ。

以下略



4:おじさん ◆nlCx7YJs2Q[saga]
2014/09/27(土) 20:27:10.23 ID:JLE6BIiyo


 不意に木陰の中を爽やかな風が通り抜ける。思わずうっとりする涼しさを感じると、これだけ日差しはきついが、今は九月の半ばなのだと実感させられる。


以下略



5:おじさん ◆nlCx7YJs2Q[saga]
2014/09/27(土) 20:29:38.09 ID:JLE6BIiyo


 あれは私が最後に稲刈りをした年のことだ。

 猪が出た。
以下略



6:おじさん ◆nlCx7YJs2Q[saga]
2014/09/27(土) 20:30:54.28 ID:JLE6BIiyo



「稲も実がつきすぎると倒れる。まあ、重ぉなるけぇな。コシヒカリやこぉは元々、実が多いけぇ、よう見とかんといけんのんよ」

以下略



7:おじさん ◆nlCx7YJs2Q[saga]
2014/09/27(土) 20:32:37.02 ID:JLE6BIiyo



「なんが?」

以下略



8:おじさん ◆nlCx7YJs2Q[saga]
2014/09/27(土) 20:34:08.37 ID:JLE6BIiyo



「……俺さ、保育士やっとったことあったじゃろ」

以下略



9:おじさん ◆nlCx7YJs2Q[saga]
2014/09/27(土) 20:35:43.33 ID:JLE6BIiyo



 どういうことだろうか。

以下略



10:おじさん ◆nlCx7YJs2Q[saga]
2014/09/27(土) 20:36:56.49 ID:JLE6BIiyo


 こいつは昔から、体力も、頭もそうだが、特に要領はずば抜けていいヤツだった。
まるで他人の心が読めているように振舞えるヤツだった。

以下略



11:おじさん ◆nlCx7YJs2Q[saga]
2014/09/27(土) 20:38:02.46 ID:JLE6BIiyo



「あのな、兄ちゃん。俺は要領がええんよ?」

以下略



12:おじさん ◆nlCx7YJs2Q[saga]
2014/09/27(土) 20:39:52.18 ID:JLE6BIiyo



「先祖なんか知るか。田んぼじゃって俺が死んだらおしまいでえぇじゃろうが、んなもん。この辺の田んぼはそんな事情で休耕田ばっかりじゃ」

以下略



13:おじさん ◆nlCx7YJs2Q[saga]
2014/09/27(土) 20:40:59.74 ID:JLE6BIiyo


 それはそうかもしれないが、本当にそれが幸福なのか、私にはわからない。彼がこうあるべきなのかも。


以下略



14:おじさん ◆nlCx7YJs2Q[saga]
2014/09/27(土) 20:42:18.05 ID:JLE6BIiyo



**********

以下略



15:おじさん ◆nlCx7YJs2Q[saga]
2014/09/27(土) 20:43:38.47 ID:JLE6BIiyo


「だって、普通、稲刈りなんて朝の涼しいうちにやるじゃないですか。おじさん、お兄さんが来るからって甘えてたんでしょ、時間までズラして」

「んなわけあるかっ、はよ帰れ!」
以下略



16:おじさん ◆nlCx7YJs2Q[saga]
2014/09/27(土) 20:45:19.00 ID:JLE6BIiyo


 弟はこういうヤツだった。いつでも人の背に向けて、今のように「頑張れ」と言って送り出していた。誰も彼もの味方になって応援していた。


以下略



17:おじさん ◆nlCx7YJs2Q[saga]
2014/09/27(土) 20:47:33.54 ID:JLE6BIiyo


「そんな大層なもんじゃない」


以下略



18:おじさん ◆nlCx7YJs2Q[saga]
2014/09/27(土) 20:48:24.12 ID:JLE6BIiyo



     弟と稲刈りをした

以下略



19:おじさん ◆nlCx7YJs2Q[saga]
2014/09/27(土) 20:51:01.26 ID:JLE6BIiyo
くぅ疲、ともかくヒノヒカリ食べたい。

何が書きたかったんだろうか、稲刈り中の兄弟っぽいおじさん方を見て、なんか郷愁が湧いた。
最近、おっさんが主人公話ばっかり書いてる気がする。最近でもないか。読んでくれた人はありがとう。



20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/09/27(土) 21:01:53.98 ID:hHG7Zv/Ho
おつ


21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/09/27(土) 21:10:35.22 ID:AANkTGpfO
特定キャラにヘイト向けるのは良いけど
発散させないからただただワンパなんだよね

これを面白いと思ってやってるなら狙いは大きく外れてるし
スレタイを消化するような内容にもなってない。惜しいだけの凡作。虚しいね


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