45:山梨最高 ◆31XYrFalkuo5[sage]
2014/09/27(土) 23:41:01.76 ID:4btJ32Bz0
最終章 地獄の死闘
その日の夕刻、ライドウはゴウトと二人で鶉橋の屋敷の呼び鈴を鳴らしていた。
鶉橋「どちら様……また君か、連日ご苦労だね。
地獄壁は破れないよ。そして私は家から出ない。
つまり君に打つ手はないんだよ。
早く地獄少女を倒しに行ったらどうだい?」
ゴウト「まあ、そう言ってくれるな。
地獄壁を破れないか否か、試してみたいことがあってな」
鶉橋「じゃあ、思いついたことはすべて試してみてくれ。
そしてさっさと諦めて、とっとと地獄少女を倒しに行ってほしいね」
ゴウト「ではライドウよ、お言葉に甘えて試させてもらうとするか」
ライドウは地獄壁のあるあたりに手を伸ばす。
昨日同様地獄壁が現れライドウの手が弾かれる。
そのことを確認してから胸元から二本の封魔管を取り出し、二体の仲間を呼び出した。
着物を着た小さな虫の羽をもつ妖精と、鳥の翼をもつ少女の姿の仲魔である。
鶉橋「ハイピクシーとモー・ショボーか。特別何ができると思えないけどね」
ゴウト「結界に触れなければ、結界内であったとしてもあやつの気配を察知できぬようだな。
それとも気配を変えているのが功を奏しているのか?」
ゴウトのつぶやきに合わせて、鳥の翼をもつ少女の姿の仲魔が電光石火で鶉橋に迫る。
行く手を阻む地獄壁にぶつかろうというまさにその時、虫に食われるように地獄壁に穴が開いた。
同時に仲魔の懐から赤青黒の藁人形が零れ落ち、それぞれ骨女、一目連、輪入道へと姿を変える。
鳥の翼をもつ少女の姿の仲魔が鶉橋の額を平手で軽く打ち据えると同時に、一目連の前頭部の目玉が眩い光を放ち、鶉橋のネクタイが彼の首を締め上げる。
直後、鶉橋の背広の胸元をつかんだ輪入道が腕力だけで正面の壁に投げつけた。
壁に衝突した鶉橋は、そこから生えてきた白骨化した手に四肢と首を掴まれた。
壁に貼り付けとなった鶉橋の目の前に瞬間移動して現れた鳥の翼をもつ少女の姿の仲魔は、白い光を放ちながら振袖を纏った地獄少女へとその姿を変えた。
鶉橋はここへきてようやく苦悶と驚きの声を上げようとしたようだが、白骨の手で首をつかまれているため声がでない。
鶉橋は地獄少女と三藁に囲まれていた。
あい「もう逃げられない。ようやく捕まえた」
ゴウト「ライドウよ、うぬの発想には驚かされたぞ。
地獄少女を封魔管に封じることであやつの結界の目をくらませ、さらに技芸管属の仲魔の能力で地獄少女を別な姿に擬態させ気配と姿を誤魔化すことで、召喚してから地獄壁を破るまでの隙を作るとはな。
まあ、何より地獄少女ほど強大な悪魔が人間の仲魔となり封魔管に封じられることに同意したことが我にとって最大の驚きだが」
あい「地獄の力を操る術は封じた。
ライドウ、約束通りあなたの仲魔になる契約を解除させてもらう」
首だけこちらに向ける地獄少女の問いかけに、ライドウは頷いた。
地獄少女が鶉橋に向き直ると、彼の首をつかんでいた手だけが消え失せる。
ようやく喉が解放され、荒く呼吸をする鶉橋。
地獄少女の言葉通り、地獄の力を操る術は封じられたのだろう。
地獄壁は消え、ライドウとゴウトも屋敷に侵入することができた。
鶉橋「クソ……噂に名高き、帝都の守護者に、地獄少女を殺させるはずが……
どうしてあいつらが手を組んでいるんだ」
絶え絶えに呪詛を吐く鶉橋だが、地獄少女一味は彼の声に耳を貸さない。
輪入道「本来なら恋敵を地獄流しにしたおめぇさんの悪事にふさわしい幻術でお灸を据えるところなんだが……」
一目連「おまえの厄介な能力を無力化するのに必死だったんでね、手荒なお灸になっちまった」
骨女「お嬢が術を封じたとはいえ、あんたは油断できないんでね、このまま地獄に流しちまうことにするよ。さぁ、お嬢」
あい「闇に惑いし哀れな影よ。人を傷つけ貶めて、罪に溺れし業の魂……いっぺん、死んでみる?」
以前見たように、地獄少女の袖から花の模様が浮き上がり鶉橋を包む。
やがて鶉橋と地獄少女を闇が覆い、その闇が晴れた時にはすでに鶉橋と地獄少女一味の痕跡は全くなくなっていた。
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