51:山梨最高 ◆31XYrFalkuo5[sage]
2014/09/27(土) 23:48:45.06 ID:4btJ32Bz0
膨大なマグネタイトが管から吹き荒れ、周囲に混沌とした妖気が満ちる。
緑に輝くマグネタイトの塊が中心部から赤い鬼火の様な物に姿を変えていく。
ライドウはそれに見覚えがあった。その名はマガツヒという。
その中心にはいつの間にか一人の少年が現れていた。
少年は表情こそ人のそれに近いが、顔も含め体中に黒線と青緑に輝く線が幾筋も走っており、首の後ろには大きな角が生えている。
マガツヒは少年に吸い込まれるように消えていった。
彼こそがライドウの最後の切り札にして最強の仲魔、混沌王 人修羅であった。
一秒にも満たぬ召喚劇にに魅入ったのか驚いたのか、人面蜘蛛の攻撃の手が休まる。
その隙に更に木の根の冠と七支刀を身に着けた仲魔、スサノオを召喚するライドウ。
隣を見れば、やはり仲魔を召喚する人修羅と目が合う。
人修羅が召喚した仲魔は青いレオタード姿の妖精ピクシー、黄色い法衣に身を包む即身仏だいそうじょう、髑髏の文様を翅に持つ巨大な蠅ベルゼブブである。
二人は同時に口角を上げた。
人面蜘蛛「ばかな! 悪魔召喚師の仲魔が別の仲魔を召喚だと!?」
驚くのも無理はない。そんな離れ業を成し遂げたのは恐らくライドウと人修羅が史上初であろう。
悪魔召喚師を知っている者ほど度胆を抜く横紙破りの所業である。
しかし、ライドウ達にはその驚愕に付き合う義務もない。
最初に動きだしたのはだいそうじょう、スサノオ、人修羅の三体が同時だった。
だいそうじょうが経を唱え三鈷鈴を鳴らすと人面蜘蛛が橙の光に包まれる。
驚きにより生じた心の隙に精神属性の魔法は効いたのだろう、人面蜘蛛の足元がふらつく。
スサノオが剣を掲げるとライドウと仲魔達を不可視の力が包み込む。
蛮力の結界と呼ばれる一切の物理攻撃をこちらの活力へと変える魔法である。
大きく反り返った人修羅の胸元から無数の光弾が宙へと打ち上げられ、滑らかな曲線を描いて人面蜘蛛へと降り注ぐ。
その弾幕の中をライドウとベルゼブブが人面蜘蛛目がけて弾けるように駆け出した。
スサノオの攻撃翌力増強魔法と雄叫びに退魔刀の柄を握る力を強めたライドウは、人修羅の光弾を二本の足でなんとかさばく人面蜘蛛の腹に白刃を振るった。
同時にベルゼブブの鉄のように鋭い爪も襲い掛かる。
人面蜘蛛は数発の光弾を受けることを代償にこれを足で防いだ。
お返しとばかりにその足でライドウとベルゼブブに強烈な一撃を加え大きく弾き返すが蛮力の結界に守られた両者は何の痛痒も感じなかった。
少し遅れてスサノオの七支刀が弧を描いて飛来しライドウを蹴り飛ばした右前足を中程から切り落とした。
蹴り飛ばされ間合いを離されたライドウは瞬時に態勢を立て直し、距離を再び詰めながら雷速のごとき突きを放つ。
先日地獄少女に食らわせたものと同じ技、的殺である。
ようやく止んだ光弾の雨を凌いだ人面蜘蛛は残った三本の右足を使い突きを防ごうとするが、その隙間を縫い陰陽葛葉は人面蜘蛛の腹部に深々と突き刺さった。
同時に別方向から襲い掛かるおぞましい程の数の蝿。
ベルゼブブの眷属が一塊に群れ、一条の濁流の如く人面蜘蛛を押し流して襲う様は、見ようによっては蝿による葬列の様であった。
ライドウが蝿にまみれながら刀を抜いた刹那、目の前が青白く輝いた。
それが、人面蜘蛛の放った火炎の輝きであると気が付いたのは全身に火傷を負いながら吹き飛ばされ地面を転がりながらである。
蝿の群れが盾代わりにならなければ目を焼かれ視力を失っていたかも知れない。
周囲を見ればベルゼブブも巻き込まれたらしく、その翅が焼失している。
71Res/125.58 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。