過去ログ - 【艦これ】「提督、榛名は……榛名は大丈夫ですよ」
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34:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/10/04(土) 14:30:32.94 ID:mAyfGwuPO
「むう、ズルいなあ、ご主人は……」

言うだけ言って安らかな寝息をたてる彼。その横顔を覗きこみ、私は小さく呟く。

「しかも、私に一切手を出してこない。少しくらい甘えてくれても良かったのに。この甲斐性なしめ」

聞こえない事を良いことに、言いたい放題である。

「……さてさて、愚痴はこのへんにしておいて、ご主人の代わりに、帰還する皆さんを出迎えねばなりませんし、私もそろそろお暇しますかねー」

欲を言えば、まだ傍に居たい。好意を寄せる相手と共に居たいと感じるのは、普通の人間も艦娘も変わらない。

「愛してますよ、ご主人。あの日、あの場所から……“ヒトモドキ”と呼ばれた私を救ってくれた事、本当に感謝してます」

それはいつの間にか世の中に普及していた、限りなく人に近いが人ならざる物を指す言葉。人の様に思考し行動する『兵器』に付けられた蔑称。
そして、普通の人間に、艦娘はただの道具でしかないと認識させる魔法の単語。

「なんて、直接言う勇気は全くないんだけども」

それでも、これくらいならば罰は当たるまい。私は邪魔にならないように髪をかきあげると、そっと彼の頬に唇を寄せる。

「……さて、と。お仕事致しますかねー。ーーああ、お仕事ktkrって言った方が、私らしかったかな?」

彼から顔を離し、後ろ髪引かれる気持ち押し殺して、ベッドから抜け出す。そして、うんと伸びをひとつ。気怠げな身体に喝を入れ直し、頭の中を切り替える。最後に、部屋から出る前に、一度だけベッドで眠る彼に振り返る。

たとえ、この想いが彼に届かなくても。
たとえ、彼の気持ちが自分になくても。

私は貴方の傍に。それが、私に出来る精一杯の恩返し。あの日から、そう心に誓ったーー


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