過去ログ - 【艦これ】「提督、榛名は……榛名は大丈夫ですよ」
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33:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/10/04(土) 14:28:48.58 ID:mAyfGwuPO

「ご主人は……既に榛名さんが、沈んだ物と考えている」

「……っ。そんな事、ある訳ないだろ」

一瞬、息が詰まる。先刻から頭に浮かぶイメージ。いくら振り払っても、つい考えてしまうソレを、漣に容易く見抜かれる。否定の言葉は苦し紛れすぎたか、とても弱かった。

「常に最悪のパターンを想定し、そうならない様に尽力する。それがご主人ですから」

もっとも、榛名さんをあそこで囮にするとは、この私も思ってませんでしたが。と、苦笑ぎみに続ける漣。

「……失望したか?」

「いいえ。あのまま疲弊した皆さんを向かわせた所で、榛名さんの足を引っ張るだけでしょう。寧ろ、その味方を庇って、榛名さんが傷つくかもしれない。だから、ご主人は何も間違ってませんよ」

「そうか」

通信をしていた時、漣はその場には居なかった筈だが、やけに事情に詳しい。漣がさっき言っていた、付き合いの長さが為せる技なんだろうか。……もっとも、漣と違って、俺は彼女を見透かせてはいないのだが。

「榛名さんは強いですからね。私達の中で、誰よりも」

「それは俺が一番知っている」

普段は味方を気遣い、本気を出さないようにして、仲間にMVPを譲っている榛名だが、その彼女の練度は、ダントツで誰よりも高い。書類さえ通せば、ケッコンカッコカリが認められているくらいだ。当たり前である。

「なら、榛名さんを信じましょう。きっとご主人の心配は杞憂になりますから」

「……」

漣の表情は分からない。背中合わせだから当然だ。ただ、俺を気遣う漣の言葉は、とても優しかった。

「だから、いいんですよ、ご主人。今は弱音を吐いても。貴方の抱えた悪い想像が消えるのなら、この身体で良ければ、幾らでも貸しますので」

「……うっせーよ、貧相な身体つきのくせに」

漣が身体の向きを変え、背中から抱きついてくる。顔半分で振り返ると、心配げな表情で、こちらを窺う漣が居た。そんな彼女が、少しばかり懐かしく感じて。小さな笑みを浮かべて軽口を叩いてみる。
みるみるうちに、不満げな表情に変わる漣が何かを言う前に視線を外し、元の体勢に戻りつつ、先手を打つ。

「弱音や後悔は、全てが終わってからにするさ」

背中に感じる体温は、確かに温かく、俺の頭を支配していた凍てついた考えを容易く溶かしていく。

「ありがとう、漣ーー」

なんだかんだで気張っていたんだろう。緊張がほぐれた途端、俺の意識はすぐに闇の中へ落ちていった。


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