1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/10/04(土) 21:22:26.49 ID:qFG3aE+A0
9月下旬。
最近お互い忙しくて顔を合わせることのなかった咲さんから電話がかかってきた。
電話自体珍しい、なんて思いつつも着信とともに知らせたその名前に脈が少し早くなる。
和「もしもし」
咲『あ、和ちゃん?』
耳元で聞こえてきたその声に顔が緩む。
声が聞けるだけでこんなに嬉しい。
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2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/10/04(土) 21:24:00.35 ID:qFG3aE+A0
和「どうしたんですか、珍しいですね」
咲『ん?だって来週の土曜日、和ちゃんの誕生日でしょ』
和「え、ああ…そうですね」
3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/10/04(土) 21:26:37.79 ID:qFG3aE+A0
咲『でね、もう予定とかあるのかなって』
和「ないですよ。忘れてたくらいですし」
咲『和ちゃんらしいね。―――それでプレゼントなんだけど、何か欲しいものとかある?」
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2014/10/04(土) 21:27:04.62 ID:14FQ8nx5O
期待
5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/10/04(土) 21:29:21.75 ID:qFG3aE+A0
私の初恋は咲さん。
高校一年の夏に心をまるごと全部かっ攫われました。
それでも好きな人と過ごせる日々は幸せな反面、
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2014/10/04(土) 21:31:38.95 ID:qFG3aE+A0
和「好きな人がいるんです」
咲「えっ」
和「三年間その人がずっと好きでした」
7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/10/04(土) 21:33:58.82 ID:MF3GTWsd0
昨日がレズピンクの誕生日だと思ったら今日もレズピンクの誕生日だったのか期待
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2014/10/04(土) 21:34:18.59 ID:qFG3aE+A0
和「ずっと好きでした」
咲「……私?」
和「はい。お互い大学も違うしこれから会える機会は少なくなりますが」
9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/10/04(土) 21:37:02.30 ID:qFG3aE+A0
逃げたくて、苦しくて、痛くて。
早くその手を離して欲しいのに、握られた手首は離れない。
和「離して…もらえませんか?」
10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/10/04(土) 21:41:09.50 ID:qFG3aE+A0
咲「だって、付き合ってみないと分からないじゃない?」
和「意味がわかりません」
咲「和ちゃんの気持ち無視して酷いこと言ってるのはわかってるよ」
11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/10/04(土) 21:44:55.10 ID:qFG3aE+A0
そういうわけで。
咲さんと友達以上恋人未満のお付き合いが、卒業式の日から始まった。
あれから二年弱。
12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/10/04(土) 21:48:05.14 ID:qFG3aE+A0
咲「和ちゃん何もリクエストしないから、適当だよ?」
和「咲さんが作りたいもの作ってくれればそれでいいんです」
咲「でも、せっかくの誕生日でしょ?」
13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/10/04(土) 21:50:00.21 ID:qFG3aE+A0
咲さんの作ったご飯と一緒に頂いたワインは、あっさりしていてとても飲みやすかった。
二回程おかわりをいただけば何だかふわふわと気持ちが良くて。
いつもより表情筋が緩むのが自分でもわかる。
14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/10/04(土) 21:52:43.97 ID:qFG3aE+A0
和「じゃあ拭き上げします」
咲「いや、なんか今の和ちゃん危なそうだからいいよ」
少し強い語気で言われてしまった。
15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/10/04(土) 21:54:32.22 ID:qFG3aE+A0
和「―――見てていいんですか?」
咲「うん。でも面白くないよ?」
和「面白さは求めてないんで大丈夫です」
16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/10/04(土) 21:55:12.31 ID:rmPWdmIWO
すでにバカップルの片鱗が…
17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/10/04(土) 21:56:59.54 ID:qFG3aE+A0
咲「そういえば和ちゃん、今日は泊まっていく?」
泊まりの予定はしていないので着替えも何もかもないと伝えれば、あるよと答えられる。
咲「歯ブラシとか予備あるよ」
18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/10/04(土) 21:59:22.74 ID:qFG3aE+A0
酔った頭でもそれはダメだとわかる。
和「―――ダメです。帰ります」
咲「どうしてダメなの?」
19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/10/04(土) 22:01:26.29 ID:qFG3aE+A0
咲さんが私を好きじゃないから。
……いえ。友達としては、こうして祝ってくれる程度には好きでしょうけど。
それ以上に見てもいないのに、自分を好きだと言っている人物を泊めようなんて――
20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/10/04(土) 22:04:16.94 ID:qFG3aE+A0
咲「それは……」
それだけ言って口ごもる咲さん。
ああ、大した理由があったわけじゃないのだろう。
21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/10/04(土) 22:06:27.26 ID:qFG3aE+A0
和「それじゃ、咲さん……」
最後まで言いかける前に、自分の携帯がテーブルに置いたままなのに気づく。
手を伸ばそうとすれば、その前に咲さんがそれを手にした。
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