11: ◆EhtsT9zeko[saga]
2014/10/06(月) 01:56:41.80 ID:l+3sZe1fo
「そ、それ…虐められてついちゃったの?」
私が聞いたら、妖精さんはちょっと悲しそうな顔をしてまた、コクン、とうなずいた。
そっか…妖精さん、怖かっただろうな…妖精さんにとってはきっと、人間はトロールさんと同じくらい大きく見えるはずだ。
そんな大きな人たちによってたかって虐められたりしたら…わ、私だったら…そんなの、怖くって怖くってそれだけで死んじゃうかもしれない…。
私は、怖い顔をしたトロールさんに手や足をつかまれて弄ばれるのを想像してしまって、体が震えてしまった。
それから、なんだか申し訳なくなってしまった。私と同じ人間が、こんな小さな妖精さんを虐めるだなんて…怖がらせるだなんて…そんなの、ひどいよ。
「妖精さん…ご、ごめんなさい…私がやったわけじゃないけど…それ、人間にやられたんでしょ?だから、ごめんなさい…」
私は妖精さんに謝った。でも、妖精さんは首を横に振って、小さな手で、私の頭をなでてくれた。
それからまた壁の方に行って、大きな顔の絵を描いた。
「これ…あのトロールさん?」
私が聞いたら、妖精さんは笑ってうなずく。
「そっか…あのトロールさんが助けてくれたんだ?」
妖精さんはニコっと笑ってから、まるで私に襲い掛かってくるみたいなポーズをしてみせる。
それからすぐに、慌てたようすで、空中に浮いたまま駆け足をするマネをした。
「トロールさんが、ガオーってやって、人間が逃げ出した、ってこと?」
そう聞いたら妖精さんはパチパチパチと小さな手をたたいた。あ、どうやら正解だったみたい。
でも私は、そんなことより妖精さんのそのしぐさがなんだかかわいらしくって、思わず笑ってしまった。
それから私は、妖精さんに連れられて洞穴の一番奥にたどり着いた。
着いてみて、驚いた。
そこには、大きな木が一本生えていて、そのさらに上に、きれいな星空が広がっていた。
洞穴の行き止まりはもっと真っ暗なところだと思っていたのに、周りを高い壁に囲まれた不思議な場所だった。
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