18: ◆EhtsT9zeko[saga]
2014/10/06(月) 23:34:46.87 ID:l+3sZe1fo
「ひぃぃ!!!」
私は思わず声を上げてしりもちをついてしまう。
でも、そんな私に構わずに、その人は
「ん、くっ…」
とうめきながら、ゆっくりと体を起こした。
その人は、女の人だった。
私よりもっと年上の、お姉さん、って感じの女の人だ。
お姉さんは、ぼりぼりと頭を掻きながらあたりを見回して、それからしりもちをついていた私に気が付いた。
「んあ?なんだ、あんた?」
「え、あ、ええ、えっと…その…あの…」
「あれ、その肩に乗ってんのって、妖精?」
私はその言葉にはっとした。そうだ、妖精さん、一緒だった!
私が気が付いたのと同時に、妖精さんもビクンと体を震わせて私の背中の後ろに姿を隠した。
でも、そんな様子を見てお姉さんはあははと声を上げた笑う。
「あぁ、ごめんごめん。別にいじめたりしないから大丈夫だよ。このあたりじゃ珍しいなと思っただけだから」
「お、お姉さんは…その、誰、ですか?」
「あたし?あたしは今のとこ、フリーの傭兵。傭兵ってわかる?雇われの兵隊。もともとは王国軍にいたんだけど、戦争が終わったらリストラされちゃってさ」
「そ、それで、どうしてこんなところに…?」
「んー、話すと長いんだけど…いい機会だし、時間があるうちにいろいろ見て回ろうかなって思って旅してたんだ。でも、山に入ったら鉄砲水に流されちゃってさ。
いやぁ、びっくりしたよ。お蔭で荷物も流されちゃうし、食料もないし、腹減っちゃって昨日は諦めてここで寝たんだ」
お姉さんはそう言いってからふぅ、とため息をついて、私をじっくりと観察してきた。
「あんたは?この山に住んでるの?」
「え、その…えっと…私は…い、生贄で、この山に捨てられて…」
「い、生贄?」
お姉さんがそう言って顔をしかめる。ど、どうしよう、話して大丈夫かな…?
私は少し迷ったけれど、お姉さんに私がここに連れてこられた話をすることにした。
洪水で家が流されて、父さんと母さんが死んだ話も、洪水を収める生贄としてこの山に置き去りにされたことも。
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