848: ◆EhtsT9zeko[saga]
2015/11/16(月) 01:02:02.71 ID:1hRSULfgo
あれからまずは、私達は酒場に向かった。
まだ時間が早くて厨房の料理人の人達が下拵えをしていて、他の従業員さん達はまだ仕事には出てきていないようだったけど、
私達は料理人さん達に無理を言って話を聞かせてもらった。
酒場には栗色の髪の女の人は全部で四人いるらしかった。
その内の二人は料理人さんで、もちろん竜娘ちゃんのお母さんではなかったし、
残りの二人は砂漠の交易都市から来た人達で、街に来た時期は戦争が始まってからしばらく経った、魔族軍第二次侵攻で砂漠の街に激しい攻撃があった後なのだと言う。
その二人は姉妹で、聞けば十六号さんと同じくらいの年齢のようで、計算的に、竜娘ちゃんのお母さんだと考えるには無理があった。
だけど、私達は代わりにいくつかの情報を手に入れた。その一つが…
「酒場で聞いた特務隊って人達のことは重要だよな」
十六号さんがそう口にする。そう、酒場の人達は、組合事務所おじさんよりも鮮明に特務隊のことを覚えてくれていたのだ。
「六年前の風の月に顔を出した、って話だね」
妖精さんがその言葉に頷く。
「もしそれが竜娘ちゃんのお母さんをここに連れて来た人達なら、その時期にこの街に来たって手掛かりになるよね?」
零号ちゃんの言葉に、私達も頷いた。
「可能性は高いと思う。隊長が手に入れてくれた資料だと、“要人”奪還作戦は火の月の末日、新月の晩に決行予定って書いてあったから、
この街に警護して連れてくる時間を計算しても、辻褄は合うしね」
大尉さんもそう言って腕を組んだ。
「それと、漁師さん達が言っていたことも気になるよね」
「漁師の?何か言ってたっけ?」
「ほら、漁師組合の話」
「あぁ、なるほど、それは確かにな…」
妖精さんと十六号さんがそんな話をした。
酒場のあとで向かった海辺で、私達は日にこんがり焼けた漁師さん達からも話を聞いた。
漁師さん達によれば、この街に大勢いる漁師さん達の魚を一手に買い付けているのが漁師組合なんだそうだ。
組合で買い取ることで漁師さん達に収入を保証し、それでいて街には安価で魚を提供出来る仕組みなんだという。
漁師さん達やその家族に竜娘ちゃんのお母さんの特徴に合う人達はたくさんいるらしいけど、そう言うのも漁師組合で聞けば早いし、
何より漁師組合は買い取った魚を売る大きな市場を運営していて、街中にあるお店の人達が魚を仕入れに来たり、
お店の人じゃなくても夕飯のおかずを仕入れるのに街の人達が大勢買いに来るらしい。
自然、街に住む人達の事に詳しい人が大勢いるそうだ。
竜娘ちゃんのお母さんに関する直接的な手掛かりではないけれど、新しい手掛かりを見つけられるかも知れない情報だ。
978Res/1629.26 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。