過去ログ - 向井拓海「The Passion――判定は許さない」
1- 20
136:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/10/06(月) 21:03:14.37 ID:hGctJzQM0
「おねーしゃん、大丈夫? 血出てるよ」

 やはりくるみはやさしい娘だ。
突然狂ったかのように喚き散らすアタシに対しても、心配を忘れない。
いや、忘れるとか忘れないって話じゃねぇな。
以下略



137:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/10/06(月) 21:05:37.44 ID:hGctJzQM0
 激情に任せ握りつけたメダルは、アタシの左掌を貫いた。
メダルが体内に戻る事はなく、引き抜けばさらなる出血を招くだろう。

 だが、痛みは恐れるものじゃない。それは肉体の正常な反応に過ぎない。
くるみのサラシを緩めきつく押し当てる。吹き出す血がくるみの背と雑誌を赤く染めあげる。
以下略



138:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/10/06(月) 21:06:39.36 ID:hGctJzQM0
 すでにメダルは失われ、人と人との縁は繋がれた。
間も無くこの世には誰もが望んだ長い黒髪のアイドルが生れ落ちるだろう。
ウンエイの予言に従えば、その為には生贄が必要だ。

 全てを失うのは日曜日。天気は晴れ。朝の10時。
以下略



139:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/10/06(月) 21:07:41.30 ID:hGctJzQM0
「くるみ……やっぱり喧嘩は嫌だよう」

 アタシの話にくるみは悲しんだ。

「アタシも嫌だ。
以下略



140:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/10/06(月) 21:09:13.56 ID:hGctJzQM0
「おねーしゃん、くるみはね……お馬鹿で……きっと長生きできないけれど……。
 何も……持っていない事はないよ。お歌は楽しいもん……。
 ままの作る豆乳のケーキは……毎日美味しいもん」

 歩きながらくるみは泣いた。
以下略



141:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/10/06(月) 21:09:57.24 ID:hGctJzQM0


 祭りまでの道すがら、アタシは数えきれない程のホラを吹いた。
ぶおー、ぶおーってな。ほら貝の応援じゃねえが届いて欲しいもんさ。

以下略



142:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/10/06(月) 21:10:37.41 ID:hGctJzQM0
【人間よ、狼は腹ペコなのだ。人間は狼に食べ物をよこせと狼は言いました】

【狼よ、人間も腹ペコなんだ。今一つの森にある食べ物は一粒の麦だけだよと人間は答えました】

【人間よ、たった一粒の麦ではないか。一粒の麦では狼の腹は膨れぬのだ。
以下略



143:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/10/06(月) 21:11:15.39 ID:hGctJzQM0
【一人は朝から晩まで地面を引っ掻いては、二つの川から汲んだ水を地面へ零します】

【人間よ人間はなんてつまらない事をしているのだ。地面を引っ掻いて傷を付け、二つの川の水を地面へ零すとは。
 人間はつまらない事をするよりも食べ物を探しにゆけばよいではないか、人間も狼も腹ペコなのだぞと狼は言いました】

以下略



144:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/10/06(月) 21:11:53.03 ID:hGctJzQM0
【狼は困ってしまいました、なぜならば七つの沼には食べ物が隠してあるとの狼の話は嘘だからです。
 しかたがなく狼はまたながくなが〜く考えて嘘を吐きました。七つの沼には沢山の食べ物が隠してあって一匹では食べきれないのだと。
 だから七つの沼、六つの砂漠、五つの丘、四つの谷、三つの草原、二つの川を越えて一つの森へ食べ物を分けに来たのだと】

【狼よ大丈夫だ。一つの森には食べ物が有るよ、狼が人間へ食べ物を分けてくれなくても大丈夫だ。
以下略



145:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/10/06(月) 21:12:31.25 ID:hGctJzQM0
【狼の話はすごいと人間は喜びました。人間はいままでずっと一人ぼっちだったのです。
 これはともだちと呼ばれる言葉が生まれるずっと昔のお話です】

【こうして一人と一匹の暮らしがまた始まりました。一人と一匹は何時でも腹ペコです】

以下略



192Res/147.17 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice