過去ログ - 阿良々木暦「しょうこトータス」
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22: ◆8HmEy52dzA[saga]
2014/10/08(水) 18:51:03.97 ID:B+mP747VO



008



「う……」

気付くと、自室のせんべい布団に横たわっていた。

今までの出来事が全て夢……ってことは無さそうだな。
あんなリアルで滅茶苦茶な夢があっていい筈ない。

しかし、自分が何人もいるというのは最悪の気分だ。
扇ちゃんがいなかったらあの後、どうなっていたんだろう……。
想像もしたくないな。

目を開けると、星の顔。

後頭部に柔らかい感触があると思ったら、星が膝枕をしていてくれたらしい。

「お、起きたか、プロデューサー」

「星……」

「フヒ……ひ、膝枕だ。現役アイドルの膝枕だぞ」

「最高だ。素晴らしいぞ星」

「なに、き、気にするな」

神経は後頭部に集中させたまま現状を整理する。

扇ちゃんが言うところによれば、いつぞやの鏡の世界のような現象が起こっていたらしい。

僕は過程で何度も『裏返り』の星に出会った。

「なあ星、無理してないか?」

けれど、星はいつだって本質的には何も変わらなかった。

裏表のない人間は、そう簡単にはいない。

人には、誰もが人に知られたくない側面が存在するからだ。

時にはその側面にストレスや醜い感情を預けて、なんとか情緒をやり繰りしている。

それがない星は、常時自分というものを曝け出していることになる。
その顕現があの覚醒モードということだろうが、彼女はそれすらも隠そうとはしていない。

見られたくない自分を持たない人間。

それは、あまりにも純粋で綺麗なものじゃあないのか。



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