過去ログ - 「蒼太、好きよ」 「-義姉さん、俺は・・・」
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1: ◆doNEqSHiGo
2014/10/08(水) 20:04:13.48 ID:6ENTx2ehO
ー小学二年生のある時、お母さんがいなくなった。

お父さんは、「お母さんとは、離婚したんだ。蒼太は、これからはお父さんと2人で暮らすんだ」と言った。それ以外くわしく教えてくれなかったけど、なんとなく、うわきかなあ、と思った。よくテレビで聞くし。

それに健太くんや、ともきくん、さやかちゃんのお母さんたちも、みんなで、そんなことを言ってたし。

小さな商店がいの中の通路で、小学校から帰ってきたぼくに気がつくと、お母さんの話をしてた人たちは、何でか知らないけど、みんなしてあわてたようにおかしをくれたり、「蒼太くん、こまったことがあったら、何でも言うのよ?」と言って、まるでかくしごとをしてるみたいにさっさと帰ってしまう。

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2: ◆doNEqSHiGo[sage]
2014/10/08(水) 20:06:06.22 ID:6ENTx2ehO
ぼくは、知っている人たちが知らない人になってしまったように感じて、こわくて、よく泣いてしまった。そんなとき、友だちの中で1番近くに住んでいて、1番仲よしだったさやかちゃんが、よくぼくをはげましてくれた。「大丈夫! あたしがいるから。そうちゃんはあたしが守ってあげるからね!」って言ってくれた。でも、はげます時にせ中を強くたたくのはやめてほしかった。でも、やっぱりうれしかった。

お父さんも、お仕事でいそがしいはずなのに、たくさんぼくと遊んでくれた。ぼくがさみしくならないように。お父さんと2人だけでも、悲しくならないように、色んな所につれて行ってくれた。だからぼくは、お母さんがいなくても、お父さんがいたから、さみしくなかった。


3: ◆doNEqSHiGo[sage]
2014/10/08(水) 20:08:04.59 ID:6ENTx2ehO
ーそれから、三年後。五年生になった年の夏休み。今までと同じだと思っていた夏休みのある日。お父さんが、新しい家族を連れてきた。

お昼の少し前。宿題をしていたオレに、お父さんは大事な話があると、リビングに座らせ、少しそわそわしながら、となりの和室に声をかけた。「おい、入っていいぞ!」

すると、ふすまを開けて、和室から人が入ってきた。お父さんよりも少し若い女の人。薄茶色の短い髪の人で、にこにこと優しそうな人だった。
以下略



4: ◆doNEqSHiGo[sage]
2014/10/08(水) 20:10:02.80 ID:6ENTx2ehO
お父さんは、ぽかんとするオレを笑いながら、
「蒼太。優子さんと、成美ちゃんだ。今日から、俺達の家族だ。仲良くしろよ」

と言った。すると、お父さんより少し若い女の人が、

以下略



5: ◆doNEqSHiGo[sage]
2014/10/08(水) 20:10:50.37 ID:6ENTx2ehO
お父さんは、そんなオレを見てまた笑って、

「ほら、次は蒼太の番だぞ」

と言った。
以下略



6: ◆doNEqSHiGo[sage]
2014/10/08(水) 20:12:40.76 ID:2BIY4y2OO
お父さんは、それを満足げに見て、

「よし! まあ、お互いに色々聞きたいことや話したいこともあるだろうが、それは昼ご飯を食べながらにしよう」

と言って、立ち上がった。対面に座る優子さんも立ち上がって、
以下略



7: ◆doNEqSHiGo[sage]
2014/10/08(水) 20:14:46.93 ID:2BIY4y2OO
そんなやりとりを見てたお父さんは、

「ははは! 成美ちゃんなら大丈夫だろう。蒼太、お前も面倒掛けるなよ? ちゃんと成美ちゃんの言うこと聞いて、いい子にしてろよ?」

「わ、分かってるよ!」
以下略



8: ◆doNEqSHiGo[sage]
2014/10/08(水) 20:17:01.25 ID:2BIY4y2OO
何となく居心地が悪くて、俯いていると、

「えっと、蒼太くん」

と、成美さんに声を掛けられた。
以下略



9: ◆doNEqSHiGo[sage]
2014/10/08(水) 20:18:08.59 ID:2BIY4y2OO
と、成美さんは、少し申し訳なさそうな顔になると、

「ごめんね、蒼太くん。いきなりでびっくりしたでしょ?」

「あ、そんなことないで・・・、ないよ。前から、そんなことを聞いてたから」
以下略



10: ◆doNEqSHiGo[sage]
2014/10/08(水) 20:21:16.28 ID:2BIY4y2OO
「確かに、いきなりこういうことされたら、驚いちゃうよねえ」

成美さんはそう言って、腕を組んで、うんうんと頷いていた。

なんでも、優子さんと成美さんは、前からこうなることは知っていたらしい。だけど、お父さんが、オレには内緒にしておこうと言って、こういうことになったとか。 
以下略



11: ◆doNEqSHiGo[sage]
2014/10/08(水) 20:23:02.26 ID:2BIY4y2OO
お母さんは、浮気をして出て行った。それは、お母さんが悪いし、お父さんが可哀想だと思ってた。それに、その後もお父さんは、オレのことを一生懸命に育ててくれた。仕事で忙しくても、洗濯や料理や掃除をいつもやってくれていた。オレも手伝ったけど、まだまだ子どもで、足を引っ張ることの方が全然多かった。それでも、笑って、「手伝ってくれて有り難うな! 助かるよ!」と、いつも褒めてくれた。そんなお父さんが、もう一度結婚して、幸せになるなら、オレは絶対に応援できるだろうと、そう思っていた。

だけど、実際にお父さんが知らない女の人を連れてきたとき、うまく言えないけど、心がもやっとした。優子さんも成美さんも、いい人なんだろうな、とは思う。だけど、何となく、お母さんや、お姉ちゃんというような、“家族”になるのは、嫌だった。


12: ◆doNEqSHiGo[sage]
2014/10/08(水) 20:25:28.67 ID:2BIY4y2OO
確かに、お母さんは悪い。もうお母さんなんて許してやるもんかと思ったこともある。でも、浮気はしたけれど、お母さんはお母さんだ。いい思い出だって、沢山ある。いきなり、新しいお母さんと言われても、納得は難しいな、と思った。

ああ、ドラマでよくある考え方って、こういう考え方なのかな、って、どこか他人事のように思った。


13: ◆doNEqSHiGo[sage]
2014/10/08(水) 20:28:13.48 ID:2BIY4y2OO
「蒼太くん? どうかした?」

「あ、いや。何でもないです」

「そうですか? ならいいですけど」
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14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/10/12(日) 01:21:42.23 ID:ha/2NZYCo
まだかね?


15: ◆doNEqSHiGo
2014/10/14(火) 20:28:48.66 ID:0Ls0uW18O
それから少しすると、キッチンからお父さんと優子さんが出てきた。それぞれ二枚ずつお皿を持っていた。

「お待ちどうさま、2人とも。ほら、お昼ご飯出来たわよ」

そう言って、優子さんとお父さんがオレたちの前にお皿を置いた。
以下略



16: ◆doNEqSHiGo
2014/10/14(火) 20:29:56.19 ID:0Ls0uW18O
等分に切られたトマトを、船みたいだと思って眺めていると、優子さんも成美さんの隣に腰を下ろして、箸を持った。

「さ、それじゃあ頂きましょうか」

そして、皆で手を合わせて、
以下略



17: ◆doNEqSHiGo
2014/10/14(火) 20:32:00.53 ID:0Ls0uW18O
今回の食事で分かったこと。

優子さんは、若く見えて、実はお父さんと同い年だと言うこと。(本人は秘密にしたがっていたけど、40歳だそうだ。全然そうは見えない。)

それから、優子さんは普段、ウチから電車で三駅ほど行った町にあるデパートの雑貨屋さんで働いているらしい。店長だいこう? って言っていたけど、よく分からなかった。多分、すごいんだと思う。
以下略



18: ◆doNEqSHiGo
2014/10/14(火) 20:32:51.39 ID:0Ls0uW18O
夏休みも練習はあるから、休み中はこの家で暮らしながらも、練習には電車を使って行くって。

正式に再婚が決まったら、この町の中学校に転校することも考えているらしい。(これは、成美さんがこっそりと教えてくれた。お父さんと優子さんは、向こうにこのまま通わせようかと考えているらしい。)

この町の中学校に通うなら、一緒の学校になるのかな、と一瞬考えたけど、すぐに成美さんは三つ上なのだと思い出した。どう頑張っても、同じ学校に通うのは不可能だった。少し残念・・・残念違う。残念とかじゃなくて、心配。もし本当に転校してくるのなら、知らない人たちばかりだろうけど、もしオレが一緒に通っていたら、少なくともオレ1人分は不安が和らぐと思う。そう、それだけ。ただ心配なだけ。


19: ◆doNEqSHiGo
2014/10/14(火) 20:34:09.32 ID:0Ls0uW18O
そうやって、聞いた情報をまとめていると、優子さんがお皿を持ちながら立ち上がって、

「あ、そうだ。ねえ蒼太くん。良かったら、成美にこの辺を案内してあげてくれる? 私は何回か来てるけど、この子は初めてだから」

と言った。お父さんも、
以下略



20: ◆doNEqSHiGo
2014/10/14(火) 20:34:48.39 ID:0Ls0uW18O
すると、お皿を器用にまとめて抱えた優子さんが笑いながら、

「あら、成美もそういう年頃かしら?」

「お、お母さん! 茶化さないでよ! そんなんじゃないもん!」
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21: ◆doNEqSHiGo
2014/10/14(火) 20:36:16.87 ID:0Ls0uW18O
「よく、解らないんだけど」

と言うと、

「はは、まだ早いか。まあ、成美ちゃんくらいの年になれば解るだろ」
以下略



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