10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/10/09(木) 22:20:58.01 ID:2ge1itV00
施されたのは、左側頭部にヨレヨレの、二つ重なった○。
そしてその下にお世辞にも丁寧とは言い難い、いや、端的に言ってしまおう。
いかにも酔っぱらいらしい汚い文字で『Liberation』と書き殴ってある。酷い出来だ。
11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/10/09(木) 22:28:29.96 ID:2ge1itV00
もう一つおまけで、下手くそ、と言ってから、脚立の下の酒瓶の片付けにかかる。
あれだけの酩酊だ、あそこから降りた時にこれを踏んづけてスッ転ぶこともありえるだろう。
その光景は結構鮮明に想像できて、そうなったらそうなったでざまあみろとも思うが、そのまま見過ごすのもちょっと薄情だ。
Omega「一通り満足したら寝ろよな。不健康だし、今のアンタじゃ他の連中の機体にまで落書きしかねねぇ」
12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/10/09(木) 22:36:01.54 ID:2ge1itV00
Omega「あん?」
その背中に、今までの間延びしたような声音から一転、酒の臭いを感じさせない鋭い一声がかかる。
Omega「何を、どう思えばいいんだよ」
13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/10/09(木) 22:43:35.34 ID:2ge1itV00
Omega「……掴みどころのない奴だな、とは思う」
酔っぱらいの言うことだ、と流してもよかったのだが、その顔が、その表情が。
何となくだが、真面目に答えてやろうか、という気にさせた。
14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/10/09(木) 22:51:14.31 ID:2ge1itV00
Viper「掴みどころ、か。確かになぁ」
Omega「僚機でいると尚更な。時々によって、がらりと飛び方も変わりやがる。一緒に飛ぶと、苦労するぜ」
ある時は強さを求めるようであり、別の時は独自のプライドに基づいた飛び方で戦場を駆ける。
15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/10/09(木) 22:58:34.28 ID:2ge1itV00
Omega「アイツ、やたらと戦況が読めやがる」
いや、読め『過ぎる』。戦局眼と一言で片づけるには、あまりに異質な立ち回り。
似たような戦場を幾度も経験してきたかのように。いや、時として既にその戦場を知っているかのようにすら。
その様は、まるで。
16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/10/09(木) 23:04:55.87 ID:2ge1itV00
良くない、とかぶりを振る。アルコールが回っているのだ。
どうせ何らかのお鉢が自分に回ってくるに違いないから、と、努めてあまり飲まないようにしていたはずなのに。
それでも今日の作戦の疲労は余程だったらしい、酔いが思った以上に加速している。
17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/10/09(木) 23:11:15.69 ID:2ge1itV00
Omega「無いな。無い」
Viper「おう、どーした?」
Omega「や、なんでもねぇよ」
18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/10/09(木) 23:17:18.84 ID:2ge1itV00
Omega「まあ、なんにせよ」
ほぅ、と息を吐き出して、不格好な装飾を施されたエンブレムと正対する。
何より、この死神が、アイツをエースたらしめているのではない。逆だ。
アイツが、この死神を死神たらしめているのだ。
19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/10/09(木) 23:23:28.02 ID:2ge1itV00
Omega「逸脱してらぁな。色々と」
Viper「……ふぅん」
それ以上こちらが続けないと判断したのか、暫くして、脚立の上で鼻を鳴る。
20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/10/09(木) 23:26:48.50 ID:2ge1itV00
Omega「あぁん!?」
ため息交じりのその言葉に、反射的に険のある声が出る。が。
Viper「落ーちー着ーけ。別に貶めてるわけじゃねぇよ」
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