過去ログ - 劇場版アイマスで水瀬家に宿泊した志保のお話 抄
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10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/10/12(日) 11:50:14.55 ID:NHNSY0P+o
「とにかく、戻ってくるつもりのない子のことを考えている時間が無駄なんです。それを話し合う時間で少しでもレッスンを重ねたいんです」

 萩原先輩の家に泊まっているダンサー組の面々は体力が足りていなさすぎる。
 スクール内でのオーディションでは”総合力”を評価されてメンバーに抜擢されたはずだったが、今必要とされているのはダンスの実力だ。
 歌唱力や演技力ではない。そこで脚を引っ張っていたら本末転倒にもほどがある。

「志保、あまりダンス得意じゃないわよね」

「……わかりますか?」

「具体的に指摘する?」

「れ、レッスンのときにお伺いします。さすがにこの時間から練習もできませんので」

 自覚は多々ある。たとえば合宿でミニライブ用のダンスレッスンをしていたとき、テンポを先走る美奈子さんにつられて私もリズムを崩してしまっていたし、あのとき汗をほとんどかいていなかった奈緒さんと比べて私はボロボロに汗を噴いていた。
 ダンスができる組に振り分けられているとはいえ、練習量でなんとかカバーしているだけだ。

「ま、見てればね。ウチにも苦手だった子がいたから」

 合宿初日、練習の疲れと先輩がいる緊張から食事が進まなかった私たちに声をかけてくれた萩原先輩の言葉を思い出す。
 萩原先輩自身は足を引っ張っていたと自称していたが、今の私たちはそのレベルにすら追いついていない。

「それなのにみんなの前で厳しいこと言っちゃった手前、気を抜けないわよね」

「……はい」

 プロならばやれることを、できるようになれなければプロではない。それは可奈だけではなく私自身にも言えること。
 私自身も今のパフォーマンスに追いついていけると、はっきりは宣言できない。

「……私はやりきるつもりでいます。だから、難易度を下げていいとは……」

「別に、難しいパフォーマンスをしないと評価されない世界ではないわよ? 一生懸命やっている姿や、演者の一体感がファンのみんなの心を動かすんだから」

「違うんです!」

 先輩の言葉を遮って声を荒げるのはこれで二回目だ。
 頭のどこか冷静な部分が自分を俯瞰しているのに気がついて、また短気を起こしてしまったことを知った。


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