過去ログ - 劇場版アイマスで水瀬家に宿泊した志保のお話 抄
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20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/10/12(日) 12:05:50.71 ID:NHNSY0P+o
「……はあ。次はそれで遊ぶの?」

 リップクリームを塗るように、唇の端から端まで氷を往復させる。
 二人の体温が触れ合っているせいで氷はどんどん溶けてしまい、三分の一ほどが水に変わってしまった。
 唇を這った水分はシーツへと流れてしまっているが、少量なので特には問題ないだろう。

 小さくなってきた氷をいったん口に含み直し、中で転がしてから伊織さんの唇の間へ押し込む。きちんとホールドされたことを確認してそれを預けた。

 先輩からも同じことをしてもらおうと、唇を少々引き結んで待機していたのだけれど伊織さんは氷を自分の口内に落として、奥歯で噛み砕いてしまった。

「あ……っ」

「半分、返すわ」

 露骨に残念そうな顔をした私を気遣ってかもともとそうするつもりだったのか小指の先ほどのサイズになってしまった氷のプレゼントがあった。
 喜んで口内に収めてみるも、予想していたよりも伊織さんの味がしない。
 きちんと唾液はまぶしてくれていたはずなのだけど、氷が持っている水分の方が多すぎたのだ。それに氷はすぐに溶けていってしまう。
 ミネラルウオーターを与えてもらったときと違って、明確に形が変わってしまうのがすこし寂しかった。

 それでも最後まで伊織さんからの贈り物を楽しもうと、アメ玉のように口の中を転がしていると

「氷の使い方が間違ってるのよ」

 氷をひとつつまみ上げ、手の中でにぎにぎと遊ばせたのち、空のコップに放り投げた。カランと小気味良い音が響く。

「これは、こうするもの」

「ひゃあん!」

 バスローブの袂を割って、氷に冷やされた伊織さんの指先が私の脇腹をくすぐった。突然の温度差に腹筋が収縮し、身体が小さく跳ねた。

 たまらず身体を捻って逃げ出そうとするも、体力が枯渇ぎみの現状では背中から回された腕を振りほどくことができない。
 じたばたしてホコリを飛ばしているうちに息が切れてきて、伊織さんに抱きかかえられる形となってしまう。
 身体を動かしているうちに温まったのか、氷で冷えた指先が最初の数十秒だけで済んだのは幸いだった。


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