1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/10/18(土) 15:53:06.20 ID:3Pha7VASO
目を覚ました僕が一番に見たのは白い天井だった。全身が鉛のように重く、指を動かすのにも相当の労力がかかる。僕は定まらぬ焦点のまま天井から視線を逸らす。次に僕の瞳に映ったのは何だか心配そうな表情でこちらを見ている少年探偵団の皆さんだった
僕は全身の気怠さを飲み込み、掠れた声で彼らに話しかける
「み、なさん、どう、したんで、すか。 学、校は?」
僕の声を広い、彼らを代表して答えてくれたのはコナン君だった
「バーロー、お前がこんな状態だってのに呑気に学校なんて行ってられるか」
コナン君の言葉に他の方々も続く
「そうだぞ、光彦。お前が心配でうな重も喉を通らないんだ」
「うん、歩美も光彦君が心配で心配で、ねっ、哀ちゃん」
「ふふ…そうね」
僕は嬉しくて思わず笑みを浮かべる。そして、そのまま意識が遠退いていくのを感じた。ただ、僕は幸せだった。これほどまでに僕のことを想ってくれるひとたちがいるというのは凄く嬉しかった
「あ、りが、とうござ、います、皆さん。少し、眠いので、寝ます…」
僕は幸せを噛み締めながら意識を完全に閉ざした
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2014/10/18(土) 15:55:29.42 ID:qRqdsUWi0
光彦ォォォォォオオオ!!!!!
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2014/10/18(土) 16:19:15.51 ID:3Pha7VASO
次に僕が目を覚ましたのはそれから半日後のことだった。院内は静まりかえり、森閑としていた。僕は視線を辺りに巡らす。薄暗く月星の輝きだけが室内に光を灯していた。当たり前のことだがもう誰もいない
「皆さん、無事に家に帰れたのでしょうか」
僕は目を閉じ、皆さんの日常を思い浮かべる。サッカーボールを蹴飛ばすコナン君、うな重を頬張る元太君、友達と談笑する歩美ちゃん、そんな皆さんを微笑みながら見ている灰原さん。
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2014/10/18(土) 16:33:19.91 ID:3Pha7VASO
ただ、せっかく皆さんが僕の為を想って内緒で持ち込んでくれた食事だ。食べないと失礼に当たる。そう思い、思い切ってうな重を一口だけ口に運ぶ
僕は鰻を口に入れた直後、凄まじい不快感に襲われた。まるで夏場に台所の流しに放置した生ゴミを食べてるような不快感。猛烈な拒否反応に僕は思わず食べたものを吐き出した
「おぇええええ、がっ、あっ、う」
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2014/10/18(土) 16:35:32.65 ID:3Pha7VASO
そして、この日を境に僕の日常は崩れていった
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2014/10/18(土) 16:54:18.23 ID:XFe4vzsDO
〜〜〜OP〜〜〜
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2014/10/18(土) 18:03:05.39 ID:MpPrALwDO
こいーは、すりーるしょっくさーすぺんす
8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/10/18(土) 19:10:40.22 ID:3Pha7VASO
あれから一週間。僕の心を荒らす得体の知れない欲求を耐え凌ぎ、僕は何事もなく退院日を迎えた。僕の担当医は驚嘆していた。僕の怪我は完治しない。それがこの病院に担ぎ込まれた僕の無惨な姿を見た医師の見解だった。生きているのが奇跡に近いほど重症だった。手足の骨は複雑に折れ曲がり、内臓もほとんど壊れ、機能してなかったらしい。
仮に生き残れたとしても後遺症は免れない。それほどの怪我を負っていた。にも関わらず驚異的な速さで快復し、三日目にはもう自由に動き回れるようになっていた。そして、一週間で退院許可まで下りた。
僕は、あの日のことを思い返す。事故にあった日、僕は何者かに道路に突き飛ばされた。あまり覚えてはいないが、それでも確かに誰かに突き飛ばされた。それだけは覚えている。
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2014/10/18(土) 19:10:57.98 ID:5l7jkFJPo
見えない力たよーりに
10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/10/18(土) 19:30:51.99 ID:3Pha7VASO
どれだけ日が経ったのだろうか。日に日に僕の心は得体の知れない何かに食い荒らされていく。それは食欲にも性欲にも睡眠欲にも近い類の欲求だった。僕はこの恐ろしい欲求を解消する方法を知っていた。
人間を喰らう。それだけで僕は1ヶ月はこの飢えを凌ぐことができる。ただ、僕は人間だ。グールではない。だから人間を喰うことは理性が許さない。ただ、本能は我がままに人肉を貪れと訴えかけてくる。
「落ち着いて、落ち着いて、落ち着いて落ち着いて落ち着いて落ち着いて落ち着いて落ち着いて落ち着いて、僕は、落ち着いて、喰う、いや、食べたくない」
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