4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/10/27(月) 22:51:52.71 ID:YCJmHLXG0
「古泉、お前の番だぞ」
「……えっ!? え……ええ、っと。はい、そう、ですね?」
ポカン、といった擬音がぴったり当てはまる大口を開けて俺と窓の方に視線を彷徨わせていた古泉。
しかし、俺の声にはっと気付いたように将棋盤に目を戻すと、わたわたと角行の射線の上に入った玉将を逃がしにかかる。
こいつの、対局前に嫌味なく玉将を選べる気の遣いっぷりは正直に美徳だと思うが、いかんせん同性からすればあまり面白いものでもない。
加えて古泉自身の容姿だとか、今のように多少取り乱そうとそれが様になる器量なんかが更にその僻み根性に拍車をかける。
だからつい、もうちょっと、こちらに頭を向けた玉を虐めたろうか、という気になってしまう。
「……ちょっと、即答はないんじゃない?」
「うるさい、断るっつっとろーが」
目は将棋盤から離さず、首は目の前の古泉の方向から動かさず、そう答える。
哀れな敵の総大将の今の動きはこちらの想定内。
辛くも角行から逃れたつもりだろうが、追い打ちで置かれた香車の槍、そして次ぐ手である銀将の制空権は彼の動きを確実に制限していく。
そして最終的に、元は彼の部下だった駒達の物量に押し込まれ、大口を開けて待ち構える竜王の顎に捕えられてしまうのは最早想像に難くない。
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