過去ログ - 勇者「伝説の勇者の息子が勇者とは限らない件」
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[saga]
2014/11/30(日) 17:44:46.63 ID:AszI6XDJ0
G型魔物がカサカサと動き出す。
勇者は悲鳴を上げた。
僧侶は固まったまま動かない。
武道家ですら及び腰だ。
戦士は全身を青ざめさせてわなわなと震えている。
武道家「おい、おい勇者、おい」
勇者「なんだよ、おい、なんだよ!?」
武道家「征くがいい。これほど得体のしれない敵もそうはおるまい。最初の相手はお前の仕事だ。お前がそう言ったろう」
勇者「ばっかお前ばっかよく知ってんじゃんあいつのことみんな知ってんじゃん。だからもう様子見する段階じゃないよもう殲滅段階だよほらいけよその自慢のスピアーぶっさしてこいよ!!」
僧侶「あわ、あわわ、はばわわわわ」ブクブクブク…
G型魔物「キィーーーーーーーーーー!!!!」
勇者「て、撤収ぅーーーーッ!!!! 一時撤収ゥウウウウウウウウッ!!!!」
武道家「い、異議なし!!」
僧侶「うえええええええええええええん!!!!」
戦士「………」ザッ
勇者「へっ!? お、おい戦士!?」
皆がGに背を向けて駆けだす中、戦士だけはその場に踏みとどまり、剣を構えた。
戦士「わ、わた、わたしは、逃げ、逃げ、ないぃ……!!」ガクガクガクブルブルブル
勇者「超震えてんじゃん!! 足がくがくじゃん!! 無理すんな! 何か対策考えるから今は退いとけって!!」
戦士「こここ、このていどで、にげてちゃ、ずっとおいつけない。あの人に、いつまでもおいつけない……!!」
戦士「あの人の後継者になるのは、わた、わたしだ!!」ブルブルブル…!
勇者「………ッ!!」
その言葉を聞いて、勇者は全てを理解した。
何故戦士が自分に対して敵意を持っているのか。
何故事あるごとに張り合うような態度を取ってくるのか。
何故全てを一人で成し遂げようと、意地を張るのか。
それはきっと、一人で魔王討伐をやり遂げた、『あの男』の背を追い続けている結果で―――
勇者「……もう…」
勇者は踏みとどまる。
反転して、駆け出す。
見えるのは戦士の背中。
憧れている人がいるから、その人みたいになりたくて、恐怖に抗って、震えている、女の子の背中。
その背を横目に、追い抜く。
もうGはすぐ目の前に迫っている。
勇者「もう――――」
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