過去ログ - 勇者「伝説の勇者の息子が勇者とは限らない件」
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879:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/11(月) 23:45:01.23 ID:50uoFRyB0
勇者「作戦の要はエルフ少女が有するエルフの秘術、『宝術』です。宝術を発動させることが出来ればその影響下に居る魔物の力は半減し、逆に我々の精霊加護は強まります」

勇者「問題は宝術の影響範囲の狭さです。エルフ少女独力で展開した場合の影響範囲はおよそ周囲500m程度。魔王軍との戦闘をこの範囲内に収めるのは不可能です」

勇者「しかし事前の準備と術の補佐を行うことが出来る人物がいればこの宝術の影響範囲を広げることが出来ます」

勇者「必要な事前の準備とは『結界陣の構築』。大きな街を守る広範囲の結界は神官独力のものではなく、城壁などに描かれた呪言による補助を受けて構築されていることは皆さんご承知の事と思います。これと同様に魔大陸にも結界陣を設け、エルフ少女の術を補助・強化します」

善王「しかしそれは難しいのでは? 魔大陸を囲む範囲に呪言を描くとなると、一体どれほどの月日がかかることか…」

武王「描いた文字も、風雨に晒されればあっさりとかすれてしまうだろうしなあ……」

勇者「呪言に頼らず陣を構築する方法はあります。これを見てください。魔大陸の地図です。魔大陸のほぼ中央に魔王城は建築されています。この魔王城を囲うように六点―――このように、点を打ちます。この点を結んだ時に浮かび上がる図形は何か分かりますか?」

騎士「なんだ? 六角形?」

竜神「違うな―――なるほど、六芒星か」

勇者「その通り。この六点に精霊加護を高める『神殿』を建造し、魔力の中継点とする。神殿という導があれば、呪言に頼らずとも大地に魔力を走らせることは出来る。走らせた魔力で六芒星を描くことが出来れば、その陣の範囲に宝術の効果を拡幅することが可能だ」

倭王「神殿の構築は如何する? いわば敵の本拠地に入り込んでの作業。これは至難の業だぞ?」

勇者「実は既に神殿の構築は終えております」

国王「なんと!?」

勇者「この二ヶ月、我々はエルフ少女と共に魔大陸に乗り込み、隠密に陣の構築を行っていました。ごく小さな、単純なものではありますが、神殿の機能を十分に有するものを六点、表記の場所に準備しております」

勇者「また、その際に神殿の場所については精査と吟味を重ねました。この魔大陸の地図はその時の作業の副産物です」

武王「我が国で保管している魔大陸の地図より詳細で正確な地図……どこで都合したのかと思っていたら……」

騎士「お前……行方不明になっちまったと思ってたら、とんでもねえことやってたんだなぁ……」

エルフ長老「エルフ少女が立ち会ったというなら、神殿の出来に間違いはなかろう。であれば残る問題は、エルフ少女の補佐が出来るほどの術者を如何に都合するか、だな」

勇者「はい。中継点となる神殿でエルフ少女からの魔力を受け取り、次の神殿へ魔力の方向を定める術者が、つまり5人は必要です。呪言に頼らず数十キロの距離に渡って魔力を走らせるわけですから、相当高位レベルの神官である必要があります」

勇者「これが可能な神官となると……善王様。貴国が有する『大神官団』をおいて他にはいないと、私は考えます」

善王「わかった。大神官団の中でも選りすぐりの5人を手配しよう」

勇者「よろしくお願いします。そして……その5人の中に、どうしても一人、加えていただきたい人物がございます」

善王「む?」

勇者「陣を描く際に重要となるのはエルフ少女から対角線上に位置する術者です。エルフ少女から最も遠い場所で術を維持する必要があるわけですから、最も術力の高い、信頼できる人物にその役目は任せたい。そしてその役目を任せられる人物を、私は一人しか知らない」

勇者「―――神官長様を呼び戻し、戦列に加えていただきたい」

善王「……勇者、それは」

勇者「国外追放を命じたとはいえ、あれ程の傑物です。常に監視をつけ、あの方の所在は把握していらっしゃるのでしょう?」

善王「……人類の命運をかけた戦いだ。勝利の為に、目をつぶらなければならないこともある、か……わかった。約束しよう。彼は必ずこの戦いに参加させる」

勇者「ありがとうございます」

アマゾネス族長「勇者よ。我々が呼ばれた意図はなんだ? 聞く限り、我等には特にやることが無いように思えるが」

勇者「役割はあります。今までお話ししたのは如何にして宝術の範囲を広げるのかという部分だけです。重要なのはここから。重要なのは、実際にどうやって宝術の発動を成功させるかということなのです」

勇者「問題となるのは宝術の発動までにかかる時間です。魔力による陣を描く時間に加え、エルフ少女が宝術を唱える時間まで含めると相当な時間を要するでしょう。高められた魔力は光を放ち、可視化する。そんなものが周囲を囲っていると分かれば、魔王軍もこちらが何かを企んでいることを察するでしょう。そうなれば、こちらの妨害の為に魔物を向かわせてくることは容易に想像できます」

勇者「宝術の完成まで六つの神殿と六人の術者を防衛する。その為に、皆さんの力が必要なのです」



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