過去ログ - 【咲-saki-ss】加治木ゆみ「開けずの扉」
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13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[sage saga]
2014/11/24(月) 21:27:22.60 ID:CCn7M9KF0
 だけど私は。

 ふと、学校の––––麻雀部の部室の方に振り返った。

 こちら側からは、別の校舎の影になって見えないのだけれど。

 あの、扉が––––部屋の片隅で、月の光を浴びて浮かび上がる様が、思い浮かんだ。

 それから、なんだかんだあって、扉を開くことはなかった。

 勿論、扉は以前と同じくその場所に鎮座していたのだけれども。不思議と誰も気にする様子はなかった。あの蒲原さえも––––。

 そもそも、段々とこの時期は忙しくなってきて、扉を気にする余裕もなくなってきたのだ。

 隣のブラスバンド部では、大会が目前と迫っているのか、その練習は日ごとに激しさを増していた。朝は早くから、夜遅くまで––––とても、音楽室が空くのを待っていられるようではなかった。

 他にも、文化祭が近付いて何やら多目的室を使用する生徒も増えたし。麻雀部も、睦月と妹尾は一応コクマに出場する為に練習しなければならない。練習を見るのは蒲原と私だ。

 だから––––扉なんかに構っている時間はなかった。

 みんな、忘れていたのだ––––。

 あの日以来––––。

 だけど私の頭の片隅には、なおもあの扉の存在が大きく占めていた。



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