過去ログ - 【咲-saki-ss】加治木ゆみ「開けずの扉」
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[sage saga]
2014/11/24(月) 21:29:22.96 ID:CCn7M9KF0
忘れたふりをしているだけで––––忘れられなかった。
そんな思いも、雑多な日常の流れに身を流して気にしないふりをした。そうした方が良いと、私は何故か考えたのだった。
こうして、また時が過ぎて行く。
そして。
私は、何故かまた扉の前に立っていた。
蒲原も、睦月も、妹尾も、先に帰ったのだ。私は用事があると、ここへ残った。用事などある訳がないのに。
どうしても、私は扉が気になるようだ。
その頃には文化祭の準備も一段落し、秋季のブラスバンドの大会も終わった後であった。だから校舎には、人影は少ない。
だから今なのだ。
だけど、私は––––何もせず、ただ立ち尽くしていた。
開ければ終わる。ただ、それだけなのに––––。
その時、
「先輩––––」
と、鈴を転がすような声がした。
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