7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/11/26(水) 23:50:04.08 ID:incPBixuo
僕はもう何も言わないことにした。むしろ早く家の中に入ってしまいたいけど玄関前に
立ちはだかる妹をどかそうとすれば彼女の体に触れざるを得ない。
僕に自分の体を触れられた妹がどういう行動を取るのかは、これまでの苦い経験でよく
学んでいた。だから僕にはひたすら沈黙し、妹が出かけていってしまうことを待つことし
かできなかった。
「その子もきっと無理してるんだろうな。会うたびに自分の体をあんたにじろじろ見られ
てるんでしょ? きっと」
「だんまりかよ。まあいいや。今日父さんも母さんも帰り遅いって。あたしは出かけてく
るから」
「ああ」
僕はそれだけ返事した。
「ああ」
妹は鸚鵡返しに僕の言葉を真似して言った。「あんたコミュ障? ゲームの中の女とし
か喋れないわけ? そんなことないか。可愛い中学生の彼女がいるんだもんね」
ひたすら言葉の暴力に耐えているとようやく妹は僕を解放してくれた。
そして妹はもう僕のことなんか振り返らずに大股で雨上がりの夕暮れの中を駅前の方に
ずんずんと歩いていってしまった。
その夜、両親は帰って来なかった。あいつは父さんたちが今日遅くなると言っていたけ
ど、多分正確な伝言は今日は帰れないだったのだろう。僕への嫌がらせに間違った伝言を
僕に伝えたに違いない。
両親が帰って来ると思っていた僕はその晩夕食を食べ損ねた。キッチンにあったポテト
チップスを少し食べて空腹を紛らわせた僕は、そのままベッドに入って寝てしまおうと思
った。
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